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無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

札幌が生んだ歌姫の現在と未来。

福原美穂  Sing A Song TOUR 2010
■2010/07/02@Zepp Sapporo
 福原美穂、セカンドアルバムに伴うツアーの初日。故郷・札幌からツアーをさせるというのは、やはり初日は緊張するので少しでもリラックスできるようにという彼女の意向だそうだ。その狙い通り、会場は最初からウェルカムで温かいムードが漂っていた。彼女がステージに登場すると、大歓声の中に「お帰り」という声が多く聞こえてくる。
 新作『Music is My Life』の冒頭を飾る本格R&Bナンバー「RISING LIKE A FLAME」でライヴはスタート。新作の曲中心にグイグイ温度を上げていく。100s山口寛雄を含むバンドメンバーはドラム、ベース、ギター、コーラスというシンプルな編成ながらツボを抑えたプレイで彼女を支える。あくまでも中心は彼女の破格の歌である。ライヴで初披露、という「Cry No More」をキーボードのみをバックに歌い上げた後、彼女自身の弾き語りで「優しい赤」を熱唱。この中間部が最初のクライマックス。ジャクソン5のカバー「I Want You Back」から始まった後半戦はR&Bショウのスタイルで攻めまくる。ビートルズ「Get Back」から「TOUCH & LOVE」、「No Warning」の流れは必殺のクライマックス。ティナ・ターナーアレサ・フランクリンか、と言ったら褒めすぎかもしれないけど、明らかに日本人離れした歌唱力と歌のパワーで完全に自分の世界を作り上げていた。
 パワフルでソウルフルなボーカルを聞かせる反面、MCになると途端に素朴な23歳の女の子になるギャップ。それもまた彼女の魅力か。観客のリクエストに応え、彼女がデビューするきっかけになったマライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」を歌ったりもした。アットホームな雰囲気の中でのびのびと歌っていたという印象。札幌で生まれ、札幌で歌い始めた彼女が「ここまで来たよ」と故郷の人達に報告しているような、そんな夜だった。
 彼女のアーティストとしての表現の基本には家族や友人、歌への感謝がある。聞いていてこちらが少し気恥ずかしくなるような言葉もあったりするが、それが彼女の正直な気持ちなのだろう。後半のMCでも、おそらくは会場にいた家族や友人に向けてなのだろうが、そういうことを言っていた。「THANK YOU」や「Sotsugyou」といった楽曲はかなりストレートに家族への感謝を歌った曲だ。不器用ではあるが、それをきっちりと歌わなければいけない、という真摯さがあるのだろう。今自分がこうして歌えるのは誰のおかげか?ということをちゃんと歌にしたいということ。新作のタイトルや曲に、それはよく現れていると思う。まだ正直、ライブの後半で見せたような圧倒的なパフォーマンスと、シングルになるようなある意味J-POP的な楽曲の間には溝があるように思う。その溝が埋まれば彼女の音楽の幅はもっと広がるだろうし、もっと彼女の才能が世の中に浸透していくのではないだろうか。

■SET LIST
1.RISING LIKE A FLAME
2.未来-ミライ-
3.なんで泣きたくなっちゃうんだろう
4.もしかして
5.LET IT OUT
6.絶え間なく
7.Cry No More
8.優しい赤
9.I Want You Back
10.Baby Baby
11.I Believe
12.CHANGE
13.Get Back
14.TOUCH & LOVE
15.No Warning(When You're Hit By Love)
16.THANK YOU
<アンコール>
17.あいのうた
18.Sotsugyou
<アンコール2>
19.LOVE〜winter song〜

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