無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2010 in EZO(4)〜ラスト・オブ・ザ・お面

■2010/08/14@石狩湾新港樽川埠頭横野外ステージ
 山下達郎の余韻を噛みしめたまま、お腹がすいたのでレッドスターのレストランエリアへ。この時間はかなり混む。なんとか椅子を確保して食べつつ、オリジナルラヴを聞く。いきなり「The Rover」からスタート。その後も、『風の歌を聴け』とか『EYES』『結晶』あたりの曲が続く。つまり僕が一番オリジナルラヴにハマっていた時期。最近の昭和歌謡っぽい感じでやるのかと思っていたので意外。「ミリオン・シークレッツ・オブ・ジャズ」とかホント懐かしいし、カッコいい。90年代のファンにはたまらん選曲でした。思わずステージ近くまで行って後半はじっくり楽しみました。「接吻」まで出てくる始末。ラストはジプシー・キングスのカバー「ボラーレ」でコール&レスポンス。やー、意外と良かった。予定なかったけど、結局全部聞いてしまった。こういうのもフェスの醍醐味であります。

オリジナルラヴ SET LIST
1.The Rover
2.灼熱 The body for sunshine
3.It's a Wonderful World
4.BODY FRESHER
5.Two Vibrations
6.ミリオン・シークレッツ・オブ・ジャズ
7.ふられた気持ち
8.JAMPIN' JACK JIVE
9.接吻
10.LET'S GO!
11.ボラーレ


 一度テントに戻って着替えたりなんだり。と、そのうちに花火が上がる。サンステージで斉藤和義が終わるのに合わせて上がったようだ。一休みして、サンステージに向かう。ビートクルセイダーズ、最後の雄姿を見るためだ。スタンディングエリアはものすごい人。今年のサンステージで一番じゃないだろうか?ファンでもそうでなくても、最後となれば見ておかないわけには行かないということだろう。
 とは言え、湿っぽいムードとは無縁のバンドである。登場からいつも通りにステージは始まったようにも見える。聖飢魔IIをもじって「お前をダッチワイフにしてやろうかー!」というヒダカの名言も飛び出した。MCはもちろん、演奏が始まってしまえばやはり楽しい。代表曲、カバー、いろいろと織り交ぜてとにかく飽きさせない。オ○ンコールは、これもやはり聖飢魔IIからの流れでリンゴを持ち出して来た。石狩に響き渡る最後のオマ○コール、バカだと思うけど、このとき結構グッと来たかもしれない。普段通りとは言っても、やはりどこか特別な雰囲気はあったと思う。観客にも、ステージ上の彼らにも。目の前の音楽がキラキラしていればするほど、来るべき終わりの気配が色濃く感じられる。
 解散前から、ヒダカは「ビートクルセイダーズはこんなに売れるはずじゃなかった」ということを再三言っていた。シーンの中で主流というか王道があって、彼らのような(音楽的にも見た目的にも)ギミックに満ちたバンドは本来そこから外れたカウンター、傍流であるべき存在だった。ヒダカのバンドコンセプトもそれを狙っていたと思う。しかし、思いのほか受け入れられてしまったビークルはいつしか彼ら自身がシーンのど真ん中、王道になってしまった。ある意味この時点でバンドの終わりは避けられないものだったと言ってもいいのかもしれない。個人的には昨年のベスト盤の時点でそうなってもおかしくないと思っていたのだけど、彼らなりにこの先を真剣に模索した結果のこの時期、だったのだと推測する。ヒダカは最後まで脇役でシーンを賑やかして終わりたかったのかもしれない。しかし彼はこの日のステージでも王道になってしまったビークルと、それに対する観客の期待と想いを真正面から受け止めて、それに応えているように見えた。その姿はとてつもなくカッコよかった。ロックスターなどという存在から最も遠い位置にいたはずのバンドが、ロックスターとしての役割を全うしてその歴史を閉じようとしている。素晴らしいストーリーじゃないか。バンドの終焉としてこんなに出来過ぎな幕引きもそうはない。そんなことを思いながら「GHOST」を聞いていたら泣きそうになってしまった。bloodthirsty butchers吉村秀樹がゲストで登場し、「SUMMEREND」とラーズのカバー「THERE SHE GOES」を演奏。この曲はライブで初めて聞いたのだけど、これまでもレパートリーとして演奏されていたのだろうか。ここに来てこんな曲持ってくるなんて憎いぜ。最新シングル「SITUATION」から「FEEL」、そして最後はバカになれー!ということで「FOOL GROOVE」で終了。バンドは引っ込むも、拍手とアンコールが鳴り止まない。というわけで、トリ以外としては異例のアンコール。「「ECDT」と「BE MY WIFE」どっちがいい?」と観客に聞き、結果「BE MY WIFE」に。繰り返しになるが、今の自分たちの役割をきちんと引き受けてそれを全うしたビークルは本当にカッコよかった。今までありがとう、という言葉しかない。ビークルは終わってもメンバー各々の活動は続くだろうから、今後の活躍を祈りたい。

BEAT CRUSADERS SET LIST
1.CUM ON FEEL THE NOIZE
2.RUSK
3.DAY AFTER DAY
4.DANCING QUEEN
5.MICKEY MOUSE CLUB MARCH
6.BANG! BANG!
7.HIT IN THE USA
8.PERFECT DAY
9.希望の轍
10.GHOST
11.SUMMEREND(guest:吉村秀樹
12.THERE SHE GOES(guest:吉村秀樹
13.LOVE DISCHORD
14.SITUATION
15.FEEL
16.FOOL GROOVE
EN1.BE MY WIFE