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無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2010 in EZO(5)〜彼が降りてきた朝。

■2010/08/14@石狩湾新港樽川埠頭横野外ステージ
 奥さんはこれのために来てる、といっても過言ではない、LOOPAに向かう。僕はボヘミアンソウル・フラワー・ユニオンSFU)。札幌にはツアーで来ることはまず無いし、フェスでは絶対にすべらないバンドなので押さえておかねばならない。ボヘミアンは会場外テントサイト内の僻地ステージ。今年はステージの位置と向きが去年とは若干変わっていた。去年は人が多くなるとテントまで人が押し寄せるような状況になっていたので、その対策だろう(スカパラの時が一番ひどかったと思う)。
 SFUを最後に見たのは2007年だったと思うけど、またそこからメンバーが変わっている。高木克がギターで入ってからは初めて見るライヴになる。個人的には、中川敬と奥野真哉がいれば、SFUの心臓は動き続けると思っている。1曲目「風の市」から、合唱と踊りの輪が広がっていく。「荒れ地にて」はいつ聞いてもいい曲。「神頼み〜」「月光」あたりでは後ろで立って聞いてた人達も踊らずにはいられないような雰囲気になっていた。途中、中川のギターの音が出なくなるハプニングもあったが、奥野と高木のソロで事なきを得た。この辺の場数踏んでる感はさすがである。「満月の夕」からラストは「海行かば〜」で大盛り上がりのうちに終了。その辺で一緒にいた人達とハイタッチしたり、肩組んで歌って踊って。まさに、踊る阿呆に見る阿呆の世界。誰ともなくアンコールの声がかかるのも当然の盛り上がりだった。SFUの音楽にある民族音楽、あるいはチンドンの要素は、言わば非日常のハレの音楽である。素晴らしい日常をより輝かす、あるいはクソみたいな日常をやり過ごすための音楽である。俗世間を離れ、音楽に浸る非日常のフェスという場にこれほど相応しい音楽も無いものだと思う。ダンスは機会均等。楽しかった!

SOUL FLOWER UNION SET LIST
1.風の市
2.荒れ地にて
3.神頼みより安上がり
4.月光ファンファーレ
5.戦火のかなた
6.もののけと遊ぶ庭
7.うたは自由をめざす
8.平和に生きる権利
9.満月の夕
10.海行かば山行かば踊るかばね


 年甲斐も無くはしゃぎすぎたせいか、両足がかなり重くなってきた。SFUで体力をかなり使ってしまったと思われる。この状態でなんとか会場の端から端まで、つまりアーステントまで歩く。30分くらいかかった。相対性理論待ちのテントはこの時間にしてはかなり人が入っていた。僕のように今回初めて生で目にするという人も多かったのだと思う。登場前の周囲の会話からはまだ見ぬ謎のバンドへの期待感が渦巻いていた。
 メンバーが登場。ベースの真部はファイターズ・稲葉のユニフォーム(か、Tシャツ)を着ていた。OK。遅れて最後に登場したやくしまるえつこは、モスグリーンのコートを着て現れた。フードを目深にかぶり、けだるそうに歩いてくる。彼女の登場と共にステージ前のほうは大歓声が起こる。聞いた話では前の方にはかなりヲタ属性の方々がまぎれていたというが、本当だろうか?1曲目から「ミス・パラレルワールド」でモッシュ未遂とも言える盛り上がり。その後も、3枚のアルバムから万遍なく代表曲、人気曲が演奏される。最新作『シンクロニシティーン』を聞いた今では意外と言うよりはやはり、という感じだが、バンドの演奏はかなりしっかりしている。特にギターとベースは時にジャズっぽいリズム処理とフレーズを用いて全体の音像をコントロールしていたと思う。やくしまるえつこはポケットに手を突っ込み、微動だにしないまま歌う。観客は大盛り上がりだが、ステージ上の彼ら(というか、やくしまるえつこ)とのテンションのギャップがありすぎて、ちょっと後ろから引いてみていた自分にはそれが面白くてしょうがなかった。やくしまるえつこは時々曲間で意味不明のMCを行い、そのまま次の曲に入るなど、不思議ちゃんとしてのイメージ操作も完璧。曲間でiPhone操作し出した時は最初何が起きているのか分からなくてポカーンだった。ラストの「ムーンライト銀河」は、やくしまるえつこに「けーいちさん」と紹介されたムーンライダーズ鈴木慶一氏がギターでゲスト参加。最後は一人一人メンバーが抜けていき、ドラムと鈴木氏だけに。破壊力満点の壮絶なギターソロを聞かせてくれた。40分足らずのステージだったと思うけど、面白かった。期待通りと言っていい、初対面だった。バンドの振る舞いややくしまるえつこのキャラは計算だとすれば相当な知性と度胸とセンスがないとできないと思う(聖飢魔IIを思い出せば、分かる)。そう思わせるところが、僕にとってのこのバンドの最大の魅力なのだ。ライヴ見て、ますます気に入った。

相対性理論 SET LIST
1.ミス・パラレルワールド
2.人工衛星
3.地獄先生
4.テレ東
5.LOVEずっきゅん
6.気になるあの娘
7.GAIAにおねがい
8.ムーンライト銀河(guest:鈴木慶一

 サンステージのブンブンサテライツの音が聞こえてくる。相対性理論が意外と早く終わったので急げば間に合う時間だったが、さすがに体が限界。食事を取り、コールマンのブースで椅子に座っていたら眠ってしまった。起きたら9mmのステージがすでに始まっていた。そして寒い。まだTシャツ短パンのままだったのでかなり寒い。寝ている間に体が冷えてしまった。さすがにまずいと思い、テントに避難。一休みして動こうと思ったが、今からサンステージに行ってアジカン見て戻ってくるだけの体力は無いと判断。ムーンサーカスでLOOPA。奥さんとまったり踊ることにした。

 ちょうどこちらもラストのセッションタイム。TOBY、卓球、川辺ヒロシ、そしてTASAKAが代わる代わる回していく。ピエール瀧も登場し、盛り上げる。今年はLOOPARSRに登場して10周年というプチアニバーサリーでもあったのだ。そして、何よりも、5月に急逝したKAGAMIに向けての想いがこの空間に満ちていた。卓球や盟友TASAKAを始めとしたDJ陣だけではない。DEVICE GIRLSによる映像でも、「GOOD MORNING, KAGAMI」の文字が躍る。最後まで踊っていた客も皆、KAGAMIへの感謝と愛を感じていたと思う。ラストはTASAKAが「Tokyo Disco Music All Night Long」をかけて終了。ちょっと泣けてきた。あの場にKAGAMIがいたら嬉しかっただろうな。いや、いた気がする。
 こうして、12回目のRSRは終了した。もちろん楽しかったし、見たアクトはどれも素晴らしかった。ツイッターmixiで知り合った方々とも交流できたし、その面でも楽しかった。ただ年々落ちていく体力とどう付き合うか、今年はかなり難しかった。来年はもっと難しくなるだろう。それでも行くと思う。ここまで来たら、どうにもならなくなるまでは行き続けたい。奥さんには怒られるかもしれないけど、これだけは許してください。また来年。