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無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

愛こそはすべて。

きみのためにつよくなりたい

きみのためにつよくなりたい

 サンボマスターのラブソングが好きだ。余計なものがなく、シンプルに「君のことが好きだ」ということしか歌っていないからだ。乱暴な言い方をすれば、ロックなんてものは自分のことで精一杯なやつが自分の思いのたけをぶつけるものだ。その中に人類がどうとか世界がどうとかいうことが入る余地はない。僕と君の事だけで溢れてしまう。サンボマスターにとってのロックンロールとはそういうものだ。僕と君の全てがロックンロールなのだ。そんな濃密なラブソングが並んだ、2年3ヶ月ぶりの5作目。ジャケットのイラストは浅野いにおによるもの。近藤洋一が映画「ソラニン」に出演した縁によるものだろう。
 サンボマスターのいいところはそんな一人称のラブソングが赤の他人にも広がっていく可能性があることを信じていることだ。それは彼ら自身がそういう一人称のラブソングを、ロックンロールを聞いて感動し、影響を受けてきたからだろう。結果としてあまりにも強い「君」への想いは「君」を突き抜けて世界へ広がっていく。それがロックンロールの持つダイナミズムなのだと思う。だから僕はサンボマスターの書くラブソングが好きだ。彼らの鳴らす暴力的なまでの愛は、それこそがロックンロールのひとつの核心を突いている。その愛は地球を救わないかもしれない。でも、聞いたものの心には確実に刺さるだろう。