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無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

ファンクと湿度。

FUNKASTiC(初回生産限定盤)(DVD付)

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スガシカオ、約1年8ヶ月ぶりの9作目。タイトルやダサカッコいいジャケット写真等も含め、基本的には前作『FUNKAHOLiC』の延長線上にあるアルバムと言っていいと思う。つまり、スガシカオのベーシックであるところのファンクを前面に出したサウンドなわけだが、単なるファンクに終始させていない。
 それは彼のソングライティングに起因するものだ。リズムを強調しても決してメロディーを軽視することは無い。しかもそのメロディーは日本的な、歌謡曲と言っていいような湿度を持っている。歌詞にしても、おなじみのドキュメントシリーズやコミカルなものもあるが、「兆し」とか「サヨナラホームラン」のように叙情的なものはお手の物だし、ここでもやはり日本的な季節感のある風景など、ファンクとはかけ離れた世界観をその中に織り込んでいる。ファンクというサウンドと完全に分離されたソングライティングの妙こそが、スガシカオを特殊なアーティストにしているひとつの要因だと僕は思う。ただ、前作のときにも指摘した、人間の裏を暴くようなどぎつさのようなものがもっと見られるといいのは確か。そういう表現が減ってきたのは年齢的なものもあるのかな。
 ある意味、彼の音楽はデビュー以来ワンパターンと言っても差し支えないようなものなのだが、未だに飽きられることなく第一線で安定しているのはすごい。こういう音楽をやっている商売敵が少ないということもあるのだろう。ただ、今作ではライムスターのMummy-Dをフィーチャーするなどマンネリ対策もきちんと施している。抜け目が無い。僕がスガシカオに期待するのは、やはりいやしき魂がヒットチャートをかけぬけていく快感であるのだ。