誰も触れない、二人だけの国。
- アーティスト: Chemical Brothers
- 出版社/メーカー: Astralwerks
- 発売日: 2010/06/14
- メディア: CD
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ほとんど途切れることなく連なっていく全8曲は重く激しいビートよりもむしろ上モノのスペイシーな広がりとキラキラしたサイケデリアが最大の魅力。約12分に及ぶ「Escape Velocity」のスピード感やクライマックスとも言える「Swoon」の全能感は至福の瞬間と言えるだろう。大音量で聞けば間違いなくトリップできる。フロアを縦横無尽に駆け巡るレーザー光線が目に浮かぶようだ。
こうしたタイプの音楽で、彼らほど長い期間第一線で活躍してきたアーティストは皆無だろう。それは彼らが常にDJなりライヴなりでフロアのオーディエンスに向けて音を発してきたことの証でもある。前2作では様々なミュージシャンとのコラボレートにより、オリジネイターとしてのプライドを保とうとしてきたわけだが、本作ではそうした儀式すら必要なかったのだと思う。別格の存在としてのケミカル・ブラザーズを見事に示して見せたアルバムと言えると思う。『サレンダー』(99年)を思わせるようなサイケデリアを満喫できた。