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無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

あの時の自分に会いに行く。

サニーデイサービス TOUR 2010
■2010/11/03@札幌ペニーレーン24
 2008年のライジングサン・ロックフェスティバルで再結成を果たし、その後も何度かのライヴを経て今年4月に10年ぶりのアルバム『本日は晴天なり』を発表。この夏もいくつかのイベント・フェスに出演し、今回がやはり10年ぶりのライヴツアー、ということになる。体調を崩し夏の間休養していた丸山晴茂が復帰し、正規メンバーでのツアーが実現したのは嬉しいニュースだった。僕は2008年のRSR、今年7月のJoin Aliveと、2度復活サニーデイのライヴを見た。そしてこの日で3回目。どのときも、基本的には感想は同じで、それはつまり「ああ、サニーデイサービスだなあ」ということだ。それはつまり、曽我部と田中と丸山がいて、サポートに高野勲と新井仁がいて、ぼくたちお客さんがいる、ということだ。何だそれは、と思われるかもしれないけど、それがサニーデイサービスのライブなんだ、というしか言いようのない、ちょっと違う空気が流れていたと思う。
 「東京」から始まったライヴは、新作『本日は晴天なり』の曲も交えつつ、基本は解散以前の古い曲が大半を占めていた。つまり、最新のサニーデイを見せるのではなく、あの時代のサニーデイを懐かしむモードが主だったということ。会場にはソカバンから入ったような若いファンもいたけれども、大半は僕と同世代、つまりは30代〜40代前半くらいまでの人が多かった。どの曲もイントロを聞けばわかるし、一緒に歌えるくらい体に入っている。ちょっとメンバー紹介をしたくらいで、ほとんどMCらしいMCはないまま、どんどん曲を演奏していく。そしてそれを、当事の出来事や、当事の彼女の顔なんかを思い出しながらじっと聞いている。そうして、ある種淡々とライヴは進んでいった。
 曽我部恵一は2008年のライジングサンでの再結成ライヴのあと、自身のブログでこう書いている。

そして、夜も更けてサニーデイのライブ。

これは相も変わらず、学生の音楽だった。

ぼくが意識してそうしなくても、サニーデイで歌うと、書生の気分にもどる。

ああだこうだ迷ったり解ったつもりになったり感動したり泣いたり笑ったりしている、つまり旅をしているときの気分に。

 僕にはこの「学生の音楽」という言葉がものすごく腑に落ちるものだった。確かに、学生の時から聞いている音楽だからかもしれないが、「自分の人生の中の一部分を切り取った音楽」という意味で、サニーデイというバンドを良く言い表した言葉だと思ったのだ。それは聞き手だけではなく、曽我部や、バンドにとってもそうなのだろう。サニーデイで演奏しているということはつまり、今の自分たちを確認することではなく、あの時の自分たちに会いに行くということなのだ、きっと。今、自分たちが生きている目の前の現実と、この日会場で流れていた時間は明らかに違う方向に流れていた。じゃあ、この日は単なる懐古趣味で固まったライヴだったのか、と言われるとそれも違う。少なくとも自分の中にはまだ、「学生的な何か」がしっかりと残っていると自覚しているからだ。時間が経って、いろいろ変わったところもあるけれど、それでも、またこうやってここでサニーデイとして逢うことができている。それは曽我部の中にもやはりまだ「学生の音楽」が確かに残っているからなのだと思う。「サマーソルジャー」を聞くといまだに、1996年の気分に戻る。先の見えない旅をしていた時の気分に戻る。それは過去ではなく、リアルなものでもある。今でもまだ先の見えない旅の途中だからだ。そんな、不思議な空気に包まれた、素晴らしいライヴだった。多くの人がきっと、あの時の自分と会って話をしてきたに違いない。

■SET LIST
1.東京
2.恋におちたら
3.恋人たち
4.Somewhere in My Heart
5.あじさい
6.恋はいつも
7.サイン・オン
8.旅の手帖
9.忘れてしまおう
10.真っ赤な太陽
11.恋愛狂走曲
12.PINK MOON
13.ここで逢いましょう
14.星を見たかい?
15.夢見るようなくちびるに
16.時計をとめて夜待てば
17.24時のブルース
18.白い恋人たち
19.NOW
20.若者たち
21.胸いっぱい
22.ふたつのハート
23.サマーソルジャー
< アンコール1>
24.週末
<アンコール 2>
25.コーヒーと恋愛