素顔のままで。
- アーティスト: 曽我部恵一
- 出版社/メーカー: ROSE RECORDS
- 発売日: 2010/08/26
- メディア: CD
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本作は全編ギター一本の弾き語りで、おそらくはオーバーダビングも無しの一発録りという、極めてシンプルなアルバムとなっている。ミスタッチやボーカルの失敗も含め、細かい部分での完璧さよりも演奏のテンションやムードに重きを置いたドキュメントと言っていい作品だ。デモテープのような簡易的なレコーディングでありながら、生々しい歌とギターはこれ以上の装飾を拒否するかのように凛として立っている。どんどん引き込まれ、最後には涙が出そうになってしまった。曲の内容は家族への愛情、日常の風景、若い人たちへのメッセージ、ちょっと政治的な物言い・・・など、様々である。それがすべて、今この時代を生きるアラフォー男の素直な独白になっているのがいい。同世代の僕は単純にグッと来てしまう。
曲がよくて、プロが本気で弾き語りするとここまですごいものになるのか、とちょっと感動した。当たり前だけど、駅前で歌ってる素人とは比べものにならない。比べるのも失礼だ。このスタイルでアルバムが成立してしまうということは、今後もこうした作品が出る可能性があると言うことなのか。それはそれで、ファンにとってはうれしい悲鳴である。