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無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

あの頃があるから今がある。

MIXTURE(初回限定盤)(DVD付)

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 約1年9ヶ月ぶりの、Dragon Ash9枚目のオリジナル・フル・アルバム。前作にも「Mixture」というタイトルの曲があったが、本作はアルバムタイトル自体がそれである。「自分たちはミクスチャー・ロック・バンドである」というアイデンティティを再度見つめなおし、確信と決意をもって鳴らされたアルバムだと言えるだろう。
 ここで言うミクスチャーというのは、単にヘヴィーロックサウンドにラップを加えたものという意味ではない。もちろん、サウンドとして表面的にはそういう部分もあるが、もっと深いものだ。今作のサウンドは『Rio de emocion』以降のラテンビートは若干抑え目で、『Lily of da Valley』期のヘヴィーなサウンドが蘇ってきたような印象だ。BOTSのスクラッチもここ数年では最も分かりやすく存在感を見せている。それは単なる原点回帰ということではなく、彼らがこの10年間積み上げてきた音楽的なチャレンジと成果の全てがここに詰め込まれているということだ。DAのミクスチャーとは様々なチャレンジを恐れない覚悟そのものであり、その結果もたらされたオリジナルなサウンドこそが彼らのミクスチャー・ロックなのだと思う。『Lily〜』の頃はアグレッシブに攻撃一辺倒だった音が、今作ではどこか包容力のようなものすら纏っている。kjの書くエモーショナルなメロディーとヘヴィーなサウンドがケンカせず、しっかりと寄り添っている。これもまた、彼らの10年間の成長と進化だと思う。
 DAは常に自分たちのバンドだけではなく、レーベルメイトや共振しあうバンド仲間、スタッフやファンまでを含んだコミュニティを重要視し意識して活動を続けてきた。それは前作での「繋がりSUNSET」や「運命共同体」といった曲に結実した。「ミクスチャーロック」というのは、同じ考えを持つバンドやアーティストと共にシーンと向き合い戦うための旗印でもあっただろう。そんな、同時代を戦った仲間であるSBKが解散したことを受けて彼らに捧げた「TIME OF YOUR LIFE」は感動的だ。
 「ROCK BAND」にしても、今の彼らだからこそ鳴らせた曲だろう。10年以上戦い続け、積み上げ、成長してきたからこその言葉とリズムとメロディー。この曲がベテランのバンドマンからデビューしたての若者にまで同じリアリティをもって響くのは、DAが結成以来進んできた道のりと想いを描き切っているからだ。「FIRE SONG」にしてもそう。センチメンタルではあるが決してノスタルジックになることなく、前を見て歩を進める決意に満ちている。後になって振り返ってみて、Dragon Ashというバンドにとって非常に重要な意味を持つ一枚になるんじゃないかと思う。