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無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

もし「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」を読んだら。

 ドラッカーブーム?のようなものが今現在あるのだとしたら、この本がきっかけであっただろう、岩崎夏海氏による小説。2011年1月現在で200万部を突破し、今後アニメやドラマ化もされるということでちょっとした社会現象になっている本だ。何せ、全くと言っていいほど小説というものを読まない僕がお金を出して(iPhone版だけど)買ったのだから、相当なものだ。
 内容はタイトルがそのままテーマと言っていいもので、弱小公立校野球部の女子マネージャーがドラッカーの「マネジメント」を読んで、野球部の組織改革を行うという話である。マネージャーの仕事を知るのに、経営学のマネジメントについての本を買ってしまうという勘違いから物語はスタートする。この辺のとっかかりはまあ、いいと思う。が、その後の展開がちょっと、トントン拍子過ぎるというか、あれよあれよという間に成果が出ていくのがちょっと、ご都合主義的過ぎる気がした。そんなにうまくいくのかよ、と。ストーリー的にはあっという間に話が進んでいくので簡単に読めるという意味ではいいのだけど、ちょっと中身が薄い気がする。主人公はじめ、野球部員や監督、他のマネージャーなどの主要登場人物の掘り下げも不十分なので、キャラクターの誰かに感情移入して読むということも出来ない。淡々と、野球部がいい方向に行くのを見ているという感じなのだ。結末にしても余りにもあっさりと結果を出してしまうので、ちょっと驚く。直撃ネタバレになってしまうので書かないけど、そんなに簡単なものじゃないだろう、と思ってしまう。きちんと演出すればそれなりに感動的な話になるのかもしれないが、やっぱりご都合主義的だと思うな。
 ドラッカーの思想や理論の基本的な部分を噛み砕いて知るにはいいきっかけになるだろうし、例えば会社でもサークルでも部活でも何でもいいけど、自分が何らかのコミュニティに属している人は本書の舞台である「野球部」を自分のいる場所に置き換えて考えながら読んでみるといいと思う。そういう意味では、ちょっとは有意義かもしれない。小説としては、良くわかりません。