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無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

輝ける世代のために。

Postcards from a Young Man

Postcards from a Young Man

 前作『ジャーナル・フォー・プレイグ・ラヴァーズ』から1年4ヶ月という短いスパンで届けられたマニックス10枚目のオリジナル・アルバム。前作はリチャード・エドワーズの残した歌詞を元にレコーディングされ、『ホーリー・バイブル』と同じくジェニー・サヴィルの絵をジャケットに用いるなど、あらゆる点で『ホーリー・バイブル』の続編と言えるアルバムだった。前作と『ホーリー・バイブル』が対になっているものだとすれば、本作は『エヴリシング・マスト・ゴー』と対になっているものかもしれない。音楽的にはむしろ98年の『ディス・イズ・マイ・トゥルース、テル・ミー・ユアーズ』を髣髴とさせる。ダイナミックなギターに稜線の長いメロディー、そして広がりのあるストリングスを軸にジェームスの力強いボーカルがグイグイと推進力のある歌を聞かせるサウンドは、マニックスがイギリスで勝利を収めたときの王道だ。
 前作を作ったことでリッチーの不在に対し彼らが何がしかの区切りをつけたとは思わない。そんな単純な話ではないだろう。しかし、バンドは続けなくてはならない。そのためにはいつまでもそこにとらわれているわけにはいかない。少なくとも、改めて彼らにそういう強い意志を奮い起こさせる意味はあったのではないだろうか。アルバム・タイトルは押入れから自分たちが昔書いた手紙が出てきたことに起因するものだそうだ。アルバムの歌詞カード内には実際のその手紙の写真が用いられている。まだ友人と従兄弟で無邪気にバンドをやっていた頃と本作をリンクさせるのは、そう難しい話ではない。目の前が一気に開けたような本作の曲を聞いていると、彼らは当時からずっとこういうアルバムが作りたかったのかもしれない、という気がするのだ。ようやくここに立てたという意味では祝福すべきアルバムなのかもしれない。
 人生にはいろいろなことがある。その中で、同じメンバーでバンドを続けること自体がそれだけでどんなにドラマチックなことか。マニックスのアルバムは、いつもそんなことを感じさせてくれる。