無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

アジカンの新世紀。

ASIAN KUNG-FU GENERATION  Tour 2010-2011「VIBRATION OF THE MUSIC」
■2011/02/11@Zepp Sapporo
 昨年9月からスタートし、3月までで全75公演というアジカンの一大ツアー。最終コーナーを回るかというところの札幌2Daysの初日を見てきた。『マジックディスク』で提示した世界、つまり00年代から10年代へはっきりと時代が変わり、ロックも変わり、自分たちの音楽への向かい方も変わり、結果として曲が変わったというアジカンのモードをはっきりと示すツアーなわけだが、その新モードは最初からはっきりと発せられた。
 「新世紀のラブソング」のイントロが鳴り、ボーカルが乗り、後半のクライマックスに行くに従ってどんどん熱を上げていくアンサンブル。この1曲を聴いただけでもう、アジカンが違うステージに立ったことがはっきりと理解できた。「マジックディスク」「迷子犬」と続いた序盤はまさに、アジカンなうなモードをこれ以上ない形で提示するものだったと思う。「無限グライダー」のような初期の曲や「ループ&ループ」「リライト」のようなヒット曲をやっても、その軸がぶれていないのでどうとでもできる。このツアーのほとんどにサポートとして参加しているフジファブリック金澤ダイスケは、まさに5人目のメンバーといえる存在感を見せていたが、ある種彼のような「第三者」が客観的にバンドを後ろから支えることでより自由度が増したといえるのかもしれない。何となく、いつもよりもゴッチの機嫌が良く、ストレスなくステージで演奏しているような気がしたのだ。
 喜多作曲と言っていた新曲は非常に抜けがよく疾走感のあるロックンロールで、『マジックディスク』の後の風景として非常に期待が持てるものだった。「イエス」で言いたいことを言い切った後は、本編ラストの「ソラニン」まで「客のために客の聞きたい曲をやる」モードで締めたという感じだった。新作のモードをはっきりと表現できているからこそ、それ以外の曲も全力でエンターテインできていたのだと思う。アンコールで「N・G・S」なんてのもなかなか思い切った選曲だと思う。「君という花」でアンコール終了後、鳴り止まない拍手に応えてダブルアンコール。これでもかの「アンダースタンド」で、全員をお腹いっぱいにして帰してくれた。『ファンクラブ』の頃の、「何で伝わらないんだ」という苛立ちとズレが顕著だったライヴと異なり、需要と供給が非常にいいバランスで成り立っていたライヴだったと思う。

1.新世紀のラブソング
2.マジックディスク
3.迷子犬と雨のビート
4.青空と黒い猫
5.無限グライダー
6.ムスタング
7.架空生物のブルース
8.ライジングサン
9.オールライト パート2(新曲)
10.ラストダンスは悲しみを乗せて
11.アフターダーク
12.ループ&ループ
13.マイクロフォン
14.イエス
15.リライト
16.Re:Re:
17.ソラニン
<アンコール1>
18.さよならロスト・ジェネレイション
19.N・G・ S
20.君という花
<アンコール2>
21.アンダースタンド