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無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

めぐりあい宇宙。

ALMA

ALMA

 ACIDMAN、約1年4ヶ月ぶりの8作目。「ALMA」というのはスペイン語で「魂、心、精神」という意味の言葉である。ラテン語でも同じ意味になる。そしてまた「ALMA」というのは南米チリにある電波望遠鏡の名前でもある。この場所を訪れた体験が本作のテーマに大きな影響を与えている。
 最近の彼らは宇宙というマクロな視点と、自分自身の内なる心象のミクロな視点の双方から世界を解き明かすというテーマで作品を作っていた。しかし、南米で見たあまりにも壮大な星空と、「ALMA」を通して見た宇宙・銀河を目の前にして、いかに人間がちっぽけな存在であるかと改めて感じたと言う。そして、そのちっぽけな人間の中に小さな宇宙があるということ。それが魂=ALMAというテーマに繋がっていく。自分たちが今見ている星の光は何千年、何万年も前に光ったものかもしれない。今この時点であの星は存在しないのかもしれない。そんな壮大な時間の流れの中で、人間の一生はどれだけの輝きを放つことが出来るのか。言葉で書くとやや電波臭がしてくるが、ACIDMANは大真面目にこういうテーマに向き合っている。それを突き詰めていくと人間や地球がなぜこの宇宙に存在しているのか、という哲学的な疑問に帰結する。僕は自分が理系出身だからかもしれないが、オオキノブオのこういう考え方やアプローチにものすごく共感する部分がある。全てが理屈で片付けられることではないのを分かっていながら、自分の中では理屈で理解しないと気がすまないのだ。
 「2145年」では心を持ってしまったロボットのことが歌われているが、それがすごく人間臭く聞こえてくる。今回の歌詞は全て日本語で書かれていて、先の「2145年」のように明確なストーリー性を持つものも多く、非常に素直に耳に入ってくる。ACIDMANの作品中、最も人間臭いアルバムかもしれない。