顔のないウィーザー。
- アーティスト: ウィーザー
- 出版社/メーカー: SMJ
- 発売日: 2010/10/27
- メディア: CD
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本作も、収録曲のほとんどがリヴァースと外部のソングライターの共作とになっていて、前作からの流れを踏襲したものになっている。ジャケットは「LOST」というTVドラマで「ハーリー」役をやったホルヘ・ガルシアという人のスナップで、アルバムタイトルもそのまま『ハーリー』である。正直、何でも良かったのではないだろうか。今のウィーザーは、というかリヴァースは、自分たちの音楽から自分の存在を消そうとしているかのようだ。曲だけが、音楽だけがそこにあれば、自分自身がその中に投影されていなくてもいい、という、極端な対象化。その方向を突き詰めていく中で曲はどんどんポップになっていく。曲がいいので救われているし僕もまだウィーザーを好きでいられているが、対象化が進むということは「誰がやってもいいじゃん」ということになりかねない。かつてのファンが残念に感じているのはまさにそういうことなのではないだろうか。
僕もその点に関しては危惧している。究極の匿名化ということになればゴリラズという例もあるのだけど、あれは裏返ってデーモン・アルバーン以外の何者でもないという音楽になっている。少なくとも今のウィーザーの行き着く先はそういう場所ではない。今のリヴァースはウィーザーというバンドを客観的に見ている。自分がそのメンバーであるということすら意識していないかのようだ。ファンと一緒になってウィーザーの音楽を楽しんでいる。とりあえず、その姿は幸せそうではある。