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無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

野性の証明。

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 チャットモンチー、オリジナル・フル・アルバムとしては『告白』以来丸2年ぶりの4枚目。その間、デビュー以来の完全オフ期間があったり、アメリカツアーがあったり、B面集出したり、それに伴うツアーがあったりと、何かと動いてはいた。本作に至る動きとしては昨年秋のミニアルバム『AWA COME』が重要なポイントで、完全セルフ・プロデュースの元、地元徳島でレコーディングされたというコンセプチュアルな作品だった。ここで自分たちの原点を再確認した、というと簡単だが、同じくセルフ・プロデュースで制作された本作はチャットモンチーの本性というか、野性が爆発したようなアルバムになっている。
 彼女たちのアルバムの1曲目というのは毎回とても重要なものが多いと僕は勝手に思っている。今回の「バースデーケーキの上を歩いて帰った」という曲は、街灯の明かりをろうそくに見立て、バースデーケーキの上を歩いて帰った、というものなのだが、別の見方をすればこれは年を重ねていくということがテーマでもある。この中で歌われているのは「あとどれくらい繰り返すだろう/希望と絶望を」という、すごくシビアで、しかし明快な認識である。本作での歌詞はこれ以外にも、あまりオブラートに包んだりせず、ストレートに本質を表現したものが多い。サウンドにしてもそうで、やりたいことをやりたい放題に思いついたアイディアを片っ端から試してぶち込んだというような感じになっている。リコーダーやら和太鼓やら、突拍子もないものがドンドン飛び出してくる。セルフ・プロデュースでタガが外れたチャットモンチーはこんなにも獰猛で手の付けられないバンドだったのか、と思い知らされる。それでも最終的にはポップでキュートにまとまっているのは彼女らのキャラクターとセンスの賜物だとは思う。
 とは言え、個人的には数々のアイディアが暴走しすぎて整理されないまま存在している印象も拭いきれない。『AWA COME』で目覚めた、こういう生々しい暴走感がチャットモンチーの本来の姿なんだ、と言えばそうなのかもしれないが、もう少し整理されてもいいと思う。彼女らのアイディアを客観的に見て、行きすぎてるかどうかを判断する第三者、つまりはプロデューサーがいればいいのではないか。初期のいしわたり淳二のような教育的な立場ではなく、同じ位置にいるような役目なら今のチャットモンチーにも合うと思う。
 ただ、「少年のジャンプ」という曲は素晴らしくいい。カウントダウンジャパンで初めて聞いたときも一際耳を引いたのだけど、彼女らの全キャリアの中でも一番好きな曲を更新したかもしれないくらい好きだ。疾走するベースとキレのいいカッティング、サビで解放される4つ打ちのビートの中歌われるのはステージの上で演奏することの喜びである。まるで初めてバンドを組んだときのような衝動を見事にキラキラと再現してみせる。この場所を再確認したからこそ、こんな爆発したアルバムができたんだろうなと思わせる名曲だ。