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無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

死してなおキング・オブ・ポップ。

MICHAEL

MICHAEL

 マイケル・ジャクソンが生前にレコーディングしていた未発表音源を、テディ・ライリーらが最終的な音源としてまとめた「新作」。YMO「ビハインド・ザ・マスク」のカバーのように30年前から噂としてあがっていたものもあれば、一番新しいものでは2007年にレコーディングされたものもある。2001年の『インビンシブル』以降オリジナルは発表していなかったマイケルだが、例えばエイコンとデュエットした「ホールド・マイ・ハンド」や「ベスト・オブ・ジョイ」「ザ・ウェイ・ユ・ラブ・ミー」のような曲を聞くと、『インビンシブル』のように鋼鉄の鎧で武装し全く入り込む隙のないサウンドではなく、非常にオーソドックスでしかもコンテンポラリーなR&Bを思考していたことが伺える。レニー・クラヴィッツが全面的に参加した「アナザー・デイ」もロック色強くてすごくいい。
 エディ・カシオがプロデュースした、いわゆる「カシオ・トラック」と呼ばれる3曲のボーカル偽者疑惑など、少なからずいわくつきの曲集ではある。それでも、マイケルがこれらの曲のレコーディングを行っていたことは紛れもない事実であり、最終的に彼のGOサインが出ていなかったとは言え、こうしてファンがこれらの曲を聞くことが出来たのは喜ぶべきことだろう。個人的には、あまりスキャンダラスなゴシップネタには興味がない。マイケルはそういうところから永遠に解放されたのだから、もういいじゃないか。
 マイケル・ジャクソンの遺産管理団体とソニーは、マイケルの未発表曲を中心としたアルバムのリリースについて10枚分の契約を交わしているという。ということはそれだけの音源がまだまだ眠っているということだ。有名なところだとフレディ・マーキュリーとレコーディングしたものなんかがそうだろう。そうした音源が世に出ることで、むしろ今までよりもマイケル・ジャクソンという稀代のポップスターの本当の素顔が見えてくるような気もする。完璧主義者だったマイケルが出していなかったものをここで出すのは彼の意に反するのではないか、という批判もあるが、元々オフィシャルにデモバージョンなども彼はリリースしているし、仮に100%の状態まで作りこまれていなかったにせよ、これらの曲を発表することは少なからぬ意義はあると思う。
 国内盤は日本有数のマイケル・フリークとして知られるノーナ・リーブス西寺郷太氏の詳細な解説がついているので、このためだけでも国内盤を買うべき。