読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

FUJI ROCK FESTIVAL '11感想(1)〜果てしなき苗場への道。

FUJI ROCK FESTIVAL '11
■2011/07/30@新潟県苗場スキー場
 10年ぶりのフジロック。今回は、大阪から友人たちと車で苗場まで行くことにしていた。まずは吹田の銭湯で晩飯と風呂。テレビで新潟の豪雨のニュースをやっていた。濁流が溢れ、数万人に避難勧告が出たとか。マジかよと思いつつ、フジの公式には特に何のアナウンスもないし、フェスには影響ないんじゃね?とタカをくくっていた。そう、このときはあんな事態になるとは想像もしていなかった・・・。
 大阪から途中休憩を挟みつつ、フジの予習とは全く関係ない音楽を流しながら北陸道をひた走る。個人的な目標としては、最悪12:30からのファウンテインズ・オブ・ウェインを見れれば、と思っていた。途中から僕がハンドルを握り、富山県から新潟へと順調に進む。雨は降っていたが、所により弱まったり止んだりしていた。本来ならば長岡ジャンクションから関越道に入り湯沢インターを目指すはずが、カーナビ先生が高速を降りろと仰る。何?と思いつつ従い、状況を確認すると、どうやら関越道が止まっているらしい。長岡ジャンクションからちょっと行ったところの小千谷〜湯沢間が通行止めになっていた。仕方がないので下道を行くことにした。雨はだんだん強まってくる。県道252号線と言うところを走り山道に入ると、ニュースで見たのと同じような茶色の濁流が流れているのを見た。怖ぇえええ!この辺は避難勧告とか大丈夫なのか?と思いつつとにかく車を走らせる。途中土砂崩れ一歩手前で道に泥や石ころがあったが、とにかく進む。我々にはここしか残された道はなかった。しかし、すれ違う車のパッシングでいやな予感が走る。もしかして?と思って先を進むと、ほどなくして道路をふさぐ倒木。ジ・エンド。あまりのショックで写真を撮ることも忘れ、一目散に引き返した。迂回路を探す手もあるかと思ったが、道路状況を見るにここより細く無事な山道があるとは到底思えなかった。山道に入る手前のコンビニに戻り、朝食を取る。精神的肉体的な疲れでとりあえず仮眠を取る。
 起きたら11時。我々は苗場から数十km離れた上越市。高速道路の通行止めは依然解除されておらず、他の道路も同様だ。途方にくれてツイッター等で情報を求めていると、大阪の友人が心配して電話をかけてきてくれた。いろいろと迂回路なども調べてくれたが、どうも東京方面から湯沢までは高速が生きているらしい。新幹線も動いているらしいということがわかった。つまり、北陸道を戻り、富山から長野方面へ下り、ぐるっと下回りで関越道に入れば湯沢まで、苗場まで行ける!いつ復旧するかわからない高速をただじっと待つよりは、動いた方がいい!ということで昼飯を食ってから出発。この時点で14時。ファウンテインズどころか、バトルズも諦めざるを得ない状況。しかし18時くらいに到着すれば、20時のdigitalismからは見れる!なんとか今日のチケットを無駄にしないためにもひとつでもステージは見る!会場の雰囲気を味わう!と固く胸に誓ったのでした。貧乏性なもので。

 東京方面から回ってきた関越道は時折小雨が降る程度で、新潟の濁流などどこ吹く風。なんとか無事に(約半日遅れで)苗場に到着。駐車場に車を置き、荷物を持ってシャトルバスで会場へ。ちょうどグリーンステージではスカパラが始まったところだった。すごい盛り上がり。フェスでのスカパラのすべらなさは特筆ものだと思う。時間あいてるしスカパラでも見るか、という人を心底楽しませ、通りすがりの人の足を止めて躍らせる。このあたりはさすが。谷中氏の「戦うように楽しんでくれー!」がフジだと一層文字通りの意味に響いてくる。スカパラを途中離脱し、オアシスで一休み。RSRの屋台、日の出食堂の豚丼を食す。ビールが美味い。フェスで飲むビールは基本美味さ3倍増しだけど、この日は日中交代交代でずっと運転だったのでさらに倍ドン!て感じ。
 レッドマーキーにてデジタリズム。イェンスとイスメイル、そしてサポートのドラマーを含めた3人が登場。基本的にテクノDJ的なスタイルで、曲によりイェンスがボーカルを取る感じなのかと思ったら、全編ドラマーがバシバシ人力でリズムを牽引していくので想像以上にロック的なダイナミズムのあるステージだった。新作『I Love You, Dude』の曲が中心なのでイェンスが前に出てボーカルを取りフロアを煽る展開が多い。「Forrest Gump」や「2Hearts」「Circles」など、新作からの曲でガンガンにテントを熱くする。インストの曲では2人で機材を操作する。その最高峰は「Blitz」だった。基本的には歌モノ中心のステージだったが、客の煽り方や一旦下げておいてからの爆発など、盛り上げる手法はまさにDJのそれ。イェンスのパフォーマンスも良く、2ndが歌モノ中心の内容になったのは彼のボーカリストとしての成長があったからかも、と思った。ラストで前作からの超絶アンセム「Pogo」を投下し、ものすごいテンションのまま終了。熱い!最後にイスメイルが「アイシテル、フジ」と言ってステージから去っていった。

 再びグリーンに移動し、フェイセズロッド・スチュワートではなくシンプリー・レッドのミック・ハックネルがボーカルで再結成したフェイセズ。最初はミック・ハックネル?と思ったけど、ポール・ロジャースがクイーンのボーカルになることもあるのでこれもアリかなと思った。というか、ミック・ハックネルの声がものすごい。声量はもちろん、ソウルフルな歌がいい。かなり気合入ってるっぽい。見ているうちにこれ以上の適役はいないかも、とすら思ってしまった。ロン・ウッドはリラックスして楽しそうにギターを弾いている。ストーンズのロンしか見た事ないので、こんなに好き勝手に弾きまくる彼はすごく新鮮。
 再びレッドマーキーへ移動して80kidz。こちらもデジタリズムと同様、テクノ/ダンス系ユニットでありながら、ライブは生ドラム中心。しかもギターやベースもあるフルバンドセットなので、よりロック感の強いステージになる。1曲目「NAUTILAS」から一気にレッドゾーンへテンション振り切れる。強いビートと輝くシンセの音色がテントを熱狂の渦に巻き込んでいく。「VOICES」「THIS IS MY SHIT」とビートとメロディーの強い曲が続き、フロアのテンションはうなぎのぼり。ステージ上はほぼ全編逆光なので彼らの表情は全くわからなかったが、きっと笑顔で演奏していたのではないだろうか。前半バキバキの曲が続いたのに対し、後半はキラキラしたシンセのメロディーを軸にしたアンセム系の曲を中心に盛り上げていく。その輝きは「RED STAR」でピークに達した。汗まみれの熱狂の中、観客は思い思いのダンスを踊り、そのビートに体を任せた。終わった後のフロアは素晴らしい笑顔に包まれていた。デジタリズム同様、フロアの盛り上げ方はDJのそれなのだけど、ライブのテンションはまさにロックバンドのそれ。80kidzはより生音が多いので、例えばブンブンサテライツなんかに近いと思う。こういう音、ホント好きなんだよね。
 オアシスで越後もち豚の厚切りベーコンをつまみに一杯。シャトルバスで会場を後に。駐車場の車で車中泊。思ったよりも眠れた。長旅の末に着いた苗場の夜は、ちょっと肌寒いくらいだった。