10年後の運命共同体。
- アーティスト: RIP SLYME
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2011/03/02
- メディア: CD
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生音サンプリングから打ち込みものというサウンドの感触のみならず、王道のヒップホップからジャズ、フィリー・ソウル、アコースティックまで曲調はバラエティに富んでいる。おもちゃ箱をひっくりかえしたようなこの楽しさは確かに『FIVE』に通じるが、決して単純な原点回帰と言うものではない。なぜなら、彼らは10歳年をとっているからだ。結婚し、子供ができたメンバーも増えた。この10年、リップは順風満帆なキャリアを築いてきたと言えるが、その中でも様々な葛藤や逡巡があった。おそらく、解散という文字が浮かんだことだってあったはずだ。それを乗り越えて来ての今なのだ。そんな彼らが「ダラダラENJOY PARTY」と歌うことには、一回りして思い希望の意味が込められる。
何か吹っ切れたように、FUMIYAのトラックメイキングとソングライティングはまたしても素晴らしい冴えを見せている。「センス・オブ・ワンダー」の流麗な美しさと清々しいポップネスは他の追随を許さない。わかりやすいメロディーに乗せて薄っぺらい応援歌を歌うヒップホップグループが世に蔓延していたが、彼らはどこに言ったのだろう。終曲「BABY」はFUMIYAに第一子が生まれたことを題材にして書かれた曲だと言う。MC4人が茶化しながらも心からそれを祝福している様子が見て取れる。新たな絆を獲得したリップの再出発作、と言えるアルバムだと思う。