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無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

最強の愛。

YUKI tour“MEGAPHONIC”2011
■2011/12/02@神戸ワールド記念ホール
 会場の神戸ワールド記念ホール埋立地に建つアリーナで、サイズ的には大阪城ホールや代々木体育館クラス。アリーナにはぎっしりとパイプ椅子が並べられ、スタンドはステージ横からぐるりと人が入っている。満員御礼。定刻をやや過ぎたあたりで電気が落ちる。スクリーンに映像が映し出され、バンドのメンバーがステージに現れる。映像とSEが徐々にテンションを上げて行き、頂点に達したところでステージ上に花火がスパーク!と同時にアリーナ中央にYUKIが登場。逆光の中、「Hello!」のサビのフレーズをアカペラで歌う。1行ごとにYUKIの合図でバンドのブレイクが入る。カッコいい。そして、照明が照らされ、YUKIの姿がはっきり見えると緊張感も和らぎ、「JOY」でライヴはスタート。YUKIはサイドが透けているセクシーな黒ドレス。新作から「勇敢なヴァニラアイスクリーム」、そして「ビスケット」「キスをしようよ」と続く序盤。YUKIの声は時折裏返ったり、高音の伸びが無く、調子は良くなさそうだった。しかし小さい体をいっぱいに使ったダンスと豊かな表情がそれをカバーする。
 ちょうど前日に神戸のルミナリエが始まったということで、その話題に。元々は阪神淡路大震災の鎮魂のために始まったルミナリエは、東日本大震災の起こった今年、大きな意味を背負っての開催となる。テーマは「希望の光」ということで、それはまさに今のYUKIが音楽で体現しようとしているものに重なるのだ。「この時期にこの場所でライブができるというのは、神戸に呼ばれたからだと思う。」と話すYUKI。「Wild Ladies」では自らギターを持っての演奏。ステージとアリーナ中央のサブステージを行き来するダイナミックなパフォーマンス。バンドのインストを挟み、YUKIは赤とオレンジのカラフルなドレスに衣装替え。「ひみつ」「2人のストーリー」と、新作からの曲を歌い上げ、「ワンダーライン」で会場の盛り上がりは最初のピークを迎える。
 映像演出を挟み、再び衣装替えしたYUKIは、黒のボンデージチックな衣装で登場。ここからは怒濤のダンスタイム。パワフルでキレのあるダンスを踊りつつ、途切れることなく歌い続ける。ものすごい体力だと思う。新作収録のディスコナンバー「揺れるスカート」では、ステージ中央の階段の上で踊るYUKIに合わせ、左右のスクリーンにも同じ衣装で同じダンスのYUKIの映像が映し出される。3人のYUKIが完璧なシンクロで目の前で踊っているような錯覚。曲調も含め、擬似Perfume?とでも言うべきスタイリッシュなパート。中盤の大きな見どころだった。丁寧に観客にコーラスのレッスンを施した上で一体感を打ち出した「ティンカーベル」からは、キラキラとした幸福感がとめどなく湧き上がってくるような時間だった。銀テープが会場を彩った「WAGON」、そして新作から「鳴いてる怪獣」と続き、本編最後は「相思相愛」。この後半のキラキラ感は幸せすぎて涙が出そうだった。キュートであり、セクシーであり、体中から幸福ビームを出し続けるようなYUKIのまばゆさに圧倒されてしまった。この人僕と同い年である。3人の子供を生んだ母親である。こんなかわいくてパワフルな39歳、他にいるだろうか?
 アンコールの冒頭でYUKIは、かなり長く話をした。かいつまんで書くと、こういう感じだった。「日本語の言霊は強いから、悪いことを言うと引っ張られてしまう。だから私は愛を歌う。ずっと自分は誰かに必要とされたいと思ってきた。でも違う。大事なのは与えること。分かち合うこと。そうすると余ってくる。そして受け取った人がまた他の人に与えていく。そうやって、世の中に愛を増やしていきたい。」震災が起こったからというわけではなく、ソロになってから、特に母親となってからのYUKIは常に「愛」を歌ってきた。それは今の日本だからこそ、より強く深く響く。彼女の歌う愛こそが日本を照らす希望の光なのだと言わんばかりのまばゆいステージだったし、新作『megaphonic』もまたそういうアルバムだったと思う。この真摯で愛に満ちたMCの後、ジュディマリの曲が使われたことを知らずに映画『モテキ』を見に行った話でこの日最大の笑いを誘っていた。母親に対する感謝と愛を歌った「Dear.ママ」に続き、震災後をテーマにして書かれた「集まろうfor tomorrow」で終了。バンドメンバーと共に大歓声に包まれたYUKIは、最後にマイクを通さずに会場中に響く声で感謝の言葉を口にした。東京ドームでのジュディマリ解散コンサートを思い出した。今のYUKIは10年前のあの時よりもさらに力強く、愛情深く、セクシーで、キュートで、そして自信に満ちている。つまり最強である。この愛と光に触れるためにも、今のYUKIは絶対に生で見た方がいい。特に今回のツアーは震災と言う大きな悲劇を日本中が体験している中で、大きな意味のあるものになっていると思う。小松シゲル、沖山優司を始めとするバンドの演奏も素晴らしかったことを最後に付け加えておく。

■SET LIST
1.JOY
2.勇敢なヴァニラアイスクリーム
3.ビスケット
4.キスをしようよ
5.Wild Ladies
6.ひみつ
7.2人のストーリー
8.笑いとばせ
9.ハローグッバイ
10.Hello!
11.ワンダーライン
12.クライマー・クライマー
13.ランデブー
14.揺れるスカート
15.マイ・プライヴェート・アイダホ
16.ティンカーベル
17.WAGON
18.鳴いてる怪獣
19.相思相愛
<アンコール>
20.Dear.ママ
21.集まろう for tomorrow

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