戦いとパーティー。
- アーティスト: ビースティ・ボーイズ
- 出版社/メーカー: EMIミュージックジャパン
- 発売日: 2011/04/27
- メディア: CD
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『トゥ・ザ・5ボローズ』というアルバムは9.11テロ以降初めての作品だったこともあり、彼らのNYという街に対するストレートな想いが込められた叙情的な作品だった(失われたツインタワーが描かれたジャケットイラストにもそれは明らかだった)。それから数年経ち、彼らがつむいだ言葉がどういうものだったのかというと、非常に猥雑でパーティ感溢れるものだった。しかしそれは80年代の彼らの悪ガキ感とはもちろん違っていて、変わってしまったNYという街とアメリカという国、もっと言えばこの世界そのものの中で、確固とした決意を持ってパーティーをするのだ、というヒロイズムに近いものである。デビュー曲「ファイト・フォー・ユア・ライト」では「パーティする権利のために戦おう」と言っていた悪ガキどもが本作の「メイク・ザム・ノイズ」では「戦う権利のためにパーティするんだ」とライムしている。目的と手段が逆転しているのだ。それが彼らの20年間の成長であり、ヒップホップが持つ「戦い」の意味がどう変わったかの象徴ではないだろうか。
アダムの病状はまだ完治というわけには行かないらしい。公式のコメントも楽観できない状況を示している。今はただ、再びステージで動き回る3人の姿を見ることができるよう祈るばかりである。