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無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

成熟した大人のポップ&ファンク。

FLYING KIDS  2012 FLYING KIDS LIVE TOUR "JOY!〜一期一会〜"
■2012/01/28@心斎橋JANUS

 フライングキッズ、再結成後2枚目となるアルバム『LIFE WORKS JOURNEY』をひっさげてのツアー。しかしツアーと言っても東京と大阪1回ずつのみ。これをツアーと言っていいのだろうか。というのは本人たちも自覚しており、浜崎の「先日東京で幕を開けたこのツアーも今日で最終日となりました」と自虐的にネタにしていた。若干寂しい状況ではあるが、それでも、この日会場に集まったファンにとっては素晴らしい夜になったはずだ。
 フライングキッズの再結成は個人的にファンだったので大歓迎、というだけではなく、実際に新曲が生まれ、それが素晴らしかったので大成功だと思っている。前作『EVOLUTION』もそうだったが、かつての自分たちを追いかけるのではなく、解散から10年経ってその分歳を取ったメンバーたちによる新たな表現になっているところがいいと思う。経験を経て、機知を得、成熟した音楽がきちんと鳴っている。その中に、若い時を変わらないやんちゃさもきちんと残っている。再結成してもこういうことができるバンドはなかなかいない。活動の規模が違うのを承知で言えば、再結成後のバンドとしての充実ぶりはユニコーンにも通じるのではないかと思っている。
 新曲群が充実した中で、かつての曲が違う聞こえ方をするものもある。例えば「毎日の日々」という曲はセカンドアルバム『新しき魂の光と道』に収録されている曲で、20年以上前に書かれたものだ。その中にはこんな一節がある。「こんなに豊かな国なのに/いっぱい働かなければ暮らしていけないし」「がんばってがんばっても/お家は買えないし」。こういうフレーズは彼らが20代だった頃よりも現在の方がよりリアリティを増して響いてくるし、何よりここで描かれる日常考えるよしなしごとが20年経った今でも変わっていないことに驚かされる。このツアーのために用意された組曲「HESOの下☆WORLD」は、新作に収録された同名曲を最初と最後に配置し、彼らのレパートリーの中から「アレ=下ネタ=エッチ」系の曲をメドレーで紡いでいく今回の目玉である。キャリア通じて、こうした下ネタ系ファンクは彼らの得意とするところであり、アルバム中必ず1曲はこうした曲があると言ってもいい。こうしてまとめて聞かされるとそれはもう恍惚とした気分にもなろうというものだ。後半には浜ちゃんの悶絶一人芝居まで飛び出し、観客置いてけぼり寸前のきわどいパフォーマンスを見せる。最高にアホで楽しい。特に初期のフライングキッズにはこういうダサカッコ悪いことがカッコいい的な価値観があったが、まだまだ健在というところだ。
 新作にも参加したスチャダラパーBOSEがゲストで登場。アルバムからの曲をやるのかと思いきや、浜ちゃんがアニパートをラップしての「今夜はブギーバック」。これはずるいわー。盛り上がるの当たり前。でも、フライングキッズのファンク・グルーヴでのブギーバックは超絶カッコよかった。その後の新曲「SQUALL」もよかった。これがあるからこそだと思う。「愛しさの中で」以降は新作の中でもミドル系のナンバーが続く。震災の影響を思わせる歌詞もあるが、基本的にはしっかりと今の時間を大切に生きていこうという希望を感じさせるものだ。そこから再びアゲてのクライマックス。「ディスカバリー」はやはり鉄板だし、「風の吹き抜ける場所へ」の爽快感はあまりにもポップで美しい。「人生は旅である」という新作のテーマを象徴する表題曲「LIFE WORKS JOURNEY」で本編終了。
 アンコールに先立って、リーダーの伏島氏がグッズ紹介で登場。「物販ラップ」を披露するも余りのひどさにここでBOSEが再登場。即興で本物の物販ラップをかましてくれた。さすがプロの技。アンコールは『真夜中の革命』に収録された「僕であるために」でスタート。この曲のように、なかなか演奏される機会も少ないが埋もれている名曲がフライングキッズにはまだまだたくさんある。真冬でも熱い「ドマナツ」で盛り上げた後、やはりこれは外せない「幸せであるように」。そして、新作の最後に収録され、現在のところ最も新しい彼らの曲「エピローグ」で終了。今の自分たちがいる場所を最後に示すことで、この先の道をも提示したラストだったと思う。しかしアンコールの拍手は鳴りやまず、ツアー最後だからということでもう1曲「暗闇でキッス」を演奏してくれた。「練習してないので立つ鳥跡を濁したらゴメン」と言いつつ、これはうれしいプレゼント。最後の最後、サビのリフレインで歌詞を飛ばしたのはご愛嬌。メンバー全員40代後半、ギターの丸山氏に至っては50代に入ったおっさんバンドでありながら、溌剌としたライブだった。まだまだ青春真っただ中、などと青臭いことは言うつもりもないが、大人が大人としてキラキラとしたポップ&ファンクを歌うことのカッコ良さが凝縮されていたと思う。これからも彼らのペースで活動を続けてほしいし、今年はまた夏フェスなんかで再会できたらうれしい。

■SET LIST
1.JOY!
2.我想う故に我あり
3.ユルギナキコト
4.一期一会のテーマ
5.炎(ファイヤー)
6.傘がない
7.毎日の日々
8.組曲「HESOの下☆WORLD」
  HESOの下☆WORLD〜ア・ハーン〜ハチミツ〜あれの歌〜快楽天国〜してきちゃいなよ〜セクシーフレンドシックスティーナイン
9.今夜はブギーバック(smooth rap)feat. BOSE
10.SQUALL feat.BOSE
11.愛しさの中で
12.レクイエム
13.ちぎれぬ時間
14.ディスカバリー
15.心は言葉につつまれて
16.風の吹き抜ける場所へ
17.LIFE WORKS JOURNEY
<アンコール>
18.僕であるために
19.ドマナツ
20.幸せであるように
21.エピローグ
<アンコール2>
22.暗闇でキッス