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無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

RSR'12感想(4)〜俺たちの明日。

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2012 in EZO
■2012/08/10-11@石狩湾新港

 レッドスターカフェではるとアビさんの2人ピーズ。アビさんは本当に会場に到着してすぐだったようで、何が何だかわからないままステージに連れてこられたような感じだった。弾き語りスタイルだから映える、というわけでもない選曲だったのだけど、こうして生身で歌だけ取り出すとはるの作る曲はどれもこれも非常にメロディーが秀逸だということが良くわかる。特別なコードを使っているわけでもなく、シンプルでも非常に味がある。「日が暮れても〜」や「日本酒〜」はこのスタイルだとより印象深く響く。このレッドスターカフェのステージはレッドスターのアクトの合間に行われていたのだけど、時間ぎりぎりまで曲をやってくれた。「実験4号」をこのスタイルで聞けたのは個人的にレアで嬉しかった。「夕方ピーズでした。夜もあるんで、よろしくね」と、はるとアビさんは帰って行った。前日の奥田民生をはじめ、このレッドスターカフェは今年いろいろ面白いアクトがあったようだ。こういうのはぜひ続けてほしい。

■二人ピーズ SET LIST
1.生きのばし
2.日が暮れても彼女と歩いてた
3.サイナラ
4.ノロマが走っていく
5.日本酒を呑んでいる
6.三度目のキネマ
7.実験4号

 レッドスター横で屋台に並んでいると花火が始まった。花火を写真に撮るのはすごく難しいので、最近はカメラを構えずにその場で見て楽しむことにしている。このブレイクタイムの後、レッドスターではthe dayのライヴが始まった。仲井戸麗市中村達也Kenken蔦谷好位置というキャラもスタイルも年齢もバラバラな4人による新ユニット。達也の呼びかけで始まったバンドという事だが、ステージでのMCは基本チャボ。「イエーイ、今日が初めてのライブだ。新人バンドです、よろしくー!」演奏はもちろん新人バンドのそれではなく、お遊びで集まった感もなく、本気モード。チャボの曲や日本語カバーなど、チャボのスタイルで前半は進行していく。ジミー・クリフの「ハーダー・ゼイ・カム」のカバーがよかった。ゲストとして武田真治も登場し、この腕利き連中に負けじとサックスを響かせる。Superflyがゲストボーカルで「スローバラード」を歌ったのだけど、これが良かった。達也のドラムはバキバキのロックでチャボのギターはブルージー、武田真治のサックスはジャジーだし、Kenkenのベースが前に出ると一気にファンク寄りになる。そんなバラバラなメンバーをまとめているのが蔦谷氏のキーボードという印象。各メンバーが各々をリスペクトしているからこそ、ギリギリのところでバンドとしてまとまっているという、その関係性がすごくいいと思う。大人な感じ。Kenkenの母上はご存じ金子マリで、RCサクセションのコーラスとしてツアーに参加していた。チャボ曰く「コイツ(Kenken)のことは2歳の時から知ってんだ。こーんな小っちゃかったんだぜ。今じゃこうやって一緒にバンドやってる。紹介するぜ、マイ・オールド・フレンド、Kenken!」こういう事をサラッと言えるチャボさんはやっぱりカッコいいと思う。
 夜は長い。深い。言葉にならないくらい。サンステージではBRAHMAN、レインボーシャングリラではTONE PARKも始まる。見たい気持ちはもちろんあれども、ここで無理するとトリのエレカシまでもたないことは明らか。もう若くねぇし。てなわけで体力温存と回復に努めることにして、ラコスバーガーなどをいただく。肉汁たっぷりでうまい。テントに帰還し、寝転がって話をしているうちに本当に寝てしまった。起きたら0時半過ぎ。寒くて目が覚めた。Tシャツとハーフパンツだけでテントで寝ているとこういうことになる。曽我部恵一BANDに行くつもりだったのだけど寝過ごしてしまったため、あきらめてデフガレージへ移動。テントの中より外の方が温かいという夜のRSRあるある。着いたらちょうどモーサムの最後の方、武井先生が頭にLEDの文字盤みたいなのをつけてて、文字は読めなかったのだけど、相変わらずブッ飛んでて頭おかしいステージでした。ピーズはほぼ最前で張り付きで見ることに。サウンドチェックではる、アビさん、佐藤しんいちろうと3人が登場。そのまま、リハに突入。「喰えそーもねー」をやり、「もう1曲やる?」と「霧の中」。始まる前からかなりのボリューム。「また出てくるんで、よろしく」とはるは飄々とした態度でカッコよく袖に引っこんでいった。デフガレージは小さなアーステントといった風情のステージなのだけど、前のモーサムが異常な盛り上がりだったためか、ステージ上にぽたぽたと水滴が落ちてきていた。「こういうのがさあ、なんかいいよね。」なんていいつつ、「三度目のキネマ」から本編スタート。ここ数年、定期的に発表していたシングル曲をコンパイルした久々のアルバム『アルキネマ』からはもちろん、懐かしい曲も含めてたくさんやってくれた。僕が一番好きだと言ってもいい「とどめをハデにくれ」は2曲目に来た。もうこの段階でネジが飛ぶくらいテンション上がっていた。アビさんは胸が大きく開いたシャツを汗でびっしょり濡らしながら切れ味鋭いギターを聞かせる。この人のギターはエッジが立っていながらブルージーな味もあり、パッと聞きの印象以上にしなやかで奥が深い。ピーズの曲ははるのソングライティングが勿論その中心なんだけど、アビさんのギターがなくては成り立たない。こうして間近で演奏を見ると本当にそう思う。そしてしんちゃんのドラムもそう。この3人の音、ずっと聞いていたい。「グライダー」で落ち着くかと思いきや、ラスト「真空管」「焼めし」でもう一つギアを上げて締め。デフガレージのトリということで当然アンコール。デビューアルバムから「Yeah」をぶちかましてくれた。客はもちろん、ステージ上のメンバーも楽しそうだった。はるもアビさんももう今年で47。しんちゃんが48。いいおっさんばかりのバンドだけど、ヨレヨレになってもロックンロールし続けてほしい。

The ピーズ SET LIST
(リハ)喰えそーもねー
(リハ)霧の中
1.三度目のキネマ
2.とどめをハデにくれ
3.底なし
4.体にやさしいパンク
5.でいーね
6.実験4号
7.ドロ舟
8.絵描き
9.ノロマが走っていく
10.生きのばし
11.グライダー
12.真空管
13.焼めし
<アンコール>
14.Yeah


 真夜中にザンギ棒など食し、腹ごしらえ。いよいよ今年のRSRもクライマックスを迎える。サンステージ大トリのエレカシ。デビュー以来エレカシを聞き続け早24年。人生の半分以上をこのバンドと過ごしてきた身としては、実に感無量の大トリである。自分にとって大切なバンドが、自分にとって大切な場所であるこのフェスで大トリを務める。これだけで今年のRSRが特別なものになることは最初から決まっていた。一人ステージに登場した宮本浩次は弾き語りで「今宵の月のように」を熱唱する。続いてバンドが登場。今回はキーボードに蔦谷好位置、そしてサポートギターにThe Birthdayからフジイケンジという布陣。前作『悪魔のささやき』のオープニングナンバー「脱コミュニケーション」。「悲しみの果て」や「風に吹かれて」などの名曲は押さえつつも、基本的なモードとしては新作『MASTERPIECE』収録曲を中心とした現在のエレカシをドシンと見せるものだった。宮本の声は序盤から異様にキレていて、絶好調に近かったように思う。パフォーマンスもアグレッシブなもので、石君の首根っこひっぱって前面に引きずり出したと思ったら勢い余って石君が転倒してしまうハプニングも。あとで「大丈夫?」と聞く宮本かわいいよ宮本(自分のせいなんだけどね)。ちょうど東の空が明るくなってきた頃に、満を持して「Ladies and Gentleman」。石狩に響き渡る「グッドモーーーニーーーーング!」の雄叫び。続いて、明けてきた空を指さしての「Sky Is Blue」(ちょっと曇っていたけどね)。ライジングサンの大トリということでの特別な演出はこの流れくらいだったと思う。あとは、攻撃的に今のエレカシをグイグイ押し出していくというステージで、フェスの最後をピースフルに締めくくろうとかそういう意図は全くなかったと思われる。「ゴクロウサン」みたいな曲、そうじゃなきゃやらないよね。「ガストロンジャー」の中盤では「さっき自問自答の末結論した」の後のベースから始まる間奏部分、入ろうとする成ちゃんを宮本が「うるせえよ!」と一喝し、挙句の果てには成ちゃんからベースを取り上げて自分で引き出すという暴挙に出た。このくだり、あまりエレカシを見たことがない観客はお口ポカーンで「え?何?この人何をやっているの?」と思ったことだろう。でも安心してほしい。ファン歴24年の僕ですら「宮本どうしたw」と思ったほどだったのだから。そういう客ドン引きの危うさも含めて、エレカシの魅力が十分に発揮されたステージだったのではないかと思う。本編ラストは「ファイティングマン」のリフを堂々と響かせ、アンコールでは「俺たちの明日」で観客全員の背中を押す。この曲が最後だったことでうまくフェスも締めくくられたと思う。近年のライジングサン、サンステージの大トリはどちらかというとユルい雰囲気で、楽しく平和的にフェスを締めくくって「お疲れさん、みんなこれで帰ろう」って感じのアクトが多かった気がしている。今年のエレカシはそんなムードを一掃する、ロックのテンションとスリリングさに溢れたステージだった。エレカシがトリをやるのならピースフルなものにはならないだろうとは思っていたけれど、見事にやってくれたと思う。

エレファントカシマシ SET LIST
1.今宵の月のように(弾き語り)
2.脱コミュニケーション
3.悲しみの果て
4.風に吹かれて
5.我が祈り
6.七色の虹の橋
7.Ladies and Gentleman
8.Sky Is Blue
9.ゴクロウサン
10.世界伝統のマスター馬鹿
11.ガストロンジャー
12.ファイティングマン
<アンコール>
13.俺たちの明日


 というわけで今年のRSRは無事終了。テントをたたむとき、疲れも相まってこれがなかなかさびしい。東京・大阪のみんなと別れを惜しみ、記念写真をパチリ。僕は大阪の友人を新千歳空港まで車で送り、帰宅した。すでに時計は11時を回っていた。今年はステージ構成、会場レイアウトも大きく変わり、まさに新生RSRという形だったのだけど、基本的にはうまくいったのではないかと思う。まあもちろん、改善すべき所はいろいろあって、特に音の問題とステージ。野外フェスで3/6がテントというのはやはりおかしい。少なくともレインボーシャングリラはオープンにしてほしい。音かぶりが出るのはあの場所でやる以上しょうがないので、ステージの向きや時間帯をずらすなどして対策してほしい。利便性を追求した結果、音楽が楽しめないことになっては本末転倒なので、気持ちよく野外で音楽を楽しめる環境は妥協なく追及して行ってもらいたいと思う。個人的には音楽をきちんと楽しめればそれ以外の多少の不便は当たり前と思ってるんだけど、今の時代大多数はそうじゃないのかなあ。ちゃんと音楽聞けて肉焼ければ、ほとんどの人はOKでしょ?と思ってます。ブッキングは昨年の反省を踏まえつつものすごく頑張ったとは思うのだけど、集客的にはどうだったのだろう。劇的に増えたとも思わないし、減ったとも思わないけれど。そんなにストレスを感じない人の多さだったと思います。自分としてはかなりステージ見たし、そのどれもが良かったと思えるものだったので非常に満足。そして一緒に行った友人たちや、たくさんのフォロワーさんとも会えて、ホント今年は(今年も)楽しい時間でした。楽しすぎたので、家に帰って一人の時間が異常なまでに寂しく感じてしまうのも毎年恒例。まさに、「楽しかった時が終わって 気づいてみたら さみしい人だった」
 あの日あの場所にいたすべての人に感謝こめて。そして長々と駄文につきあってくれた人にも。どうもありがとうございました。また来年。