無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

ももクロとそのストーリー性について考えた。

ももクロ夏のバカ騒ぎ WORLD SUMMER DIVE 2013 8.4日産スタジアム大会
■2013/08/04@日産スタジアム
 ももクロ日産スタジアム、行ってきました。ファンクラブに入って初めてのライヴチケット応募だったのだけど、ビギナーズラックなのか、当選しました。
 当日、8:30からのグッズ購入に当選していた僕は6時半起きでホテルを出発し、日産スタジアムへ。購入自体はさほど時間はかからず、9時過ぎには会場を一度後に。新横浜駅近くの漫画喫茶で仮眠を取り、昼食を食べてから再びスタジアムに向かいました。照りつける太陽と猛暑の中、続々とモノノフたちが会場へと集まってくる。5色の衣をまとった集団が道を埋め尽くすその光景はさながら王蟲の大海嘯のようで、かなり壮観なものがありました。スタジアム正面にステージとスクリーンが設置され、ステージ上には白い布をかぶされた物体が設置されている。反対側にサブステージがあり、アリーナ席はサッカーで言うゴールの後方にブロック分けされていました。つまりフィールドには客は入れない構成。
 冒頭、一つ驚いたのはやはりそのステージ上の物体。白い布が外されると、そこにはもはやキモいとしか形容できない。5人の巨大なデスマスク。それが回転したり割れたりして、バンドが登場したりメンバーが出入りしていくわけですが。アイドルが芸人と同じように体を張って笑いを取るのは今では珍しいことではないけれど、自分たちの造形をいわゆるアイドル的な可愛さと別の次元でここまでネタにしてしまうのは単純にすごいと思った。僕は別に他のアイドルに詳しいわけではないけれども、こういうバカバカしいことをこのスケールでやってみせる一種異様なグルーヴ感は僕がももクロに惹きつけられる理由の一つでもあります。
 ライヴそのもののレポート(その場で何が起きていたか)は、オフィシャルファンクラブの写真入り記事が全てを網羅しているの可能な方はそちらを参照されるのが良いと思います。セットリストも掲載されているので、ほぼ全容が把握できます。布袋寅泰登場〜「君が代」演奏(ウッドストックのジミヘンばり!)から、ゲストも豪華で正にバカ騒ぎというテンションで約4時間のライヴ。初生ももクロ、堪能しました。可愛かったし、フィールドを走ってサブステージまで移動しながら歌い続ける彼女らの姿には感動すら覚えたし、「走れ!」では本気で泣きながら一緒に歌ってました。楽しかったし、いいもの見れたという感想です。すごかった。
 川上マネージャーによる聖火入場から武井壮との100m対決や猫ひろしフルマラソン完走、サッカー元日本代表とのミニゲームなど、全体としてスポーツをテーマにした構成は、当然その先にある国立競技場でのライヴという目標につながるものとして設定されたのだと思います。しかし、やはりひとつ僕はここに疑問というか、若干の違和感を覚えてしまうのです。「紅白出場」という目標は、例えば誰かに言われたからとかではなく、歌を歌うアイドルとしては自然発生的に出てくるものだろうと思えるのだけど、「国立競技場でのライヴ」ってのはそうではないだろうと。紅白出場という目標を達成してしまったももクロにとって、じゃあ次の目標は何か、ということで周囲が彼女らに課した「お題」のようなものだと思うのです。お前らの次の目標はこれだよ、と。今年に入ってからの彼女らの活動はこの目標達成に向けて全てが進行しているし、彼女らのストーリーはそこに向けて紡がれている。この日のライヴも間違いなくその1ページでしょう。その「ストーリー」って本当にそこまで必要なのか?
 アイドルでも何でも、具体的な物語があった方がそこにファンが思いを投影しやすい、応援しやすいという理屈はあると思います。が、今の彼女らの目標は取ってつけた感が強すぎて僕自身としては素直にそこに入り込めない。事実、既に国立競技場よりももっと大きなキャパでのライヴをやっている彼女らにとっては問題となるのは競技場側の都合だけで、状況が許せばおそらく簡単に達成できてしまうでしょう。ジャンプのバトル漫画のように、敵を倒せばさらに強い敵が、という感じで目標を設定しようとするにしても、今の彼女らにとって国立競技場はそんな強敵ではない。デビュー当時の彼女らが紅白に出るという方がもっととてつもなく大きなハードルだったはずです。果たして、国立競技場でのライヴが実現したとして、自分は心からそれを祝福できるのだろうか?紅白でのあのパフォーマンスを見た時のような感動と興奮を覚えることができるのだろうか?という気がしてならないのです。
 アルバム『5TH DIMENTION』もコンセプトアルバムと言っていいようなストーリー性の強い作品だったけど、あれも紅白出場を達成したももクロが新たに生まれ変わる、という再生の物語の象徴だったのだと思います。これも、そこまでストーリー性が必要だったのかなあ、と今でも思う。アルバムとしては好きだし、曲自体にも問題はないのだけど。楽しかったなあ、と思いつつ、そういう事をずらずらと考えてしまうのでした。そんなおっさんの無駄な考えを笑い飛ばすように彼女らにはこれからも笑顔と歌声で世界を照らし出してほしいと思います。本当に。本当に。

■SET LIST
ももクロ選手紹介
オープニング映像
〜行進曲〜開会ファンファーレ〜
マーチングバンドによるももクロメドレー
マーチングバンドによるOverture(MIX)
君が代
M1.PUSH
M2.サラバ、愛しき悲しみたちよ
M3.仮想ディストピア
M4. DNA狂詩曲
-MC-
M5. Z女戦争
M6.猛烈宇宙交響曲・第七楽章「無限の愛」
M7.月と銀紙飛行船
-マーチングバンドパフォーマンス-
M8.上を向いて歩こう〜ゲッダーン!
M9.ココ☆ナツ
M10.ワニとシャンプーfeat.箕輪はるかさん
-MC-
M11.5 The POWER
-MC-
M12.ムーンライト伝説
-MC-
愛のメモリー日産Ver.
M13.Neo STARGATE
M14.宙飛ぶ!お座敷列車
M15.ももいろ太鼓どどんが節(太鼓の達人 新曲)
M16. 上球物語-Carpe diem-
M17.BIONIC CHERRY
-ハーフタイムサッカー-
M18.ピンキージョーンズ
M19.Chai Maxx
M20.キミノアト
-MC-
M21.バンビーナ
-MC-
M22.行くぜっ!怪盗少女
M23.労働讃歌
M24.走れ!
M25.ももクロのニッポン万歳!
-MCー
EN1.灰とダイヤモンド
EN2.コノウタ
EN3.さくらさくら〜ニッポン笑顔百景
EN4.黒い週末〜ALL CAST〜花火
-MC-
エンディング映像