無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2014感想(3)~夢に堕ちて

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2014 in EZO
■2014/08/15-16@石狩湾新港

 初日ほどではないにしろ、遅くとも10時までには会場に着くつもりだった。のだけど、昨晩帰宅したのが3時前、それからシャワーを浴びて、まだ起きてた奥さんに興奮していろいろと感想を話していたらすっかり寝るのが遅くなり、結局家を出たのが10時前。再び会場外駐車場に車を停め、テントにたどり着いたのが11時くらい。テント村の友人たちと遅めの朝食をとる。地元のパン屋であるDONGURIのプレートはじめ様々なメニューを囲んでの豪勢なブランチ。快晴の中気温も上がってきて午前中から飲むビールがウマいことこの上なし。昨日見たものの感想を言い合ったりどうでもいい馬鹿話、下ネタに爆笑したり、こういう時間が本当に楽しい。テント村作ってるとは言っても、実はそんなに行動を共にすることはなく、それぞれがそれぞれに見たいものを見て行きたい所に行く。たまたまテントで顔を合わせて話したりすることはあっても、大勢でゆっくり話すのはこうやって一緒に食事するときくらいなのだ。今年初めてご一緒するメンバーが中にいても、数年来一緒かのような溶け込みっぷり。こういう仲間がいることは財産だなあ、と改めて思う次第。
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朝から豪勢に!

 ケツメイシの曲やったりカラオケかと言う感じの盛り上がりを見せていたっぽい爆弾ジョニーを聞きながら食事も終わり、夕食まで解散。僕はエレカシを見にサンステージへ移動。2012年の大トリを飾ったエレカシだが、その直後の9月に宮本の耳の病気が発症。ライヴ活動の休止を余儀なくされた。ウェスの西木氏は、トリをやってもらった後、次はエレカシにトップバッターを依頼するつもりだったのだと言う。しかし宮本の病気療養のため翌年は出演がかなわず、復帰した今年その思いが実現できたということだ。乱暴に言ってしまえば今のエレカシはどの時間帯、どのステージに出ても絶対に盛り上がるし間違いのないアクトだと思う。しかし、病気からの復活というドラマと前述のRSR主催側からの思いが今回のステージをそれ以上のものにしていたと思う。1月のさいたまスーパーアリーナを見ている僕にとっては尚更だ。デビュー25周年、結成30周年を迎えたエレカシがまだまだ先へ進み続けている事実が、トップバッターとしてフェス2日目のスタートを飾るのに相応しいものになっていたのだ。
 1曲目「ズレてる方がいい」から、宮本の声が異様に出ている。気持ちの良い青空に抜けていくようだ。サポートはギターのヒラマミキオのみで、蔦谷さんのキーボードがない分、ソリッドなロックバンドとしてのエレカシの魅力が強調されたような演奏だった。この開放的な野外で、しかも最高の晴天の中で「笑顔の未来で」を聞くと楽しくて笑っているのに自然と涙が出てくる。「まだ14か15の頃、山手線に乗ってる時書いた曲です。京浜東北だったかな?まあどっちでもいいや」というMCからデビューアルバム収録の「BLUE DAYS」。「さいたまスーパーアリーナでやって、改めてこんないい曲だったんだなと思った」という「風に吹かれて」は、僕を含めファンの人気も非常に高い曲だと思うが、このMCにはやはり宮本の佐久間正英氏への感謝が込められていると思った。そしてまた泣けてくる。「ガストロンジャー」の間奏で宮本が成ちゃんのベースを奪い取って弾きだすパフォーマンスももはや定番化。「もっとノリノリで弾けよ!」という一言が今回のツボでした。最新曲「DESTINY」からデビューアルバムの曲までを詰め込んだ名曲だらけのセットはベテランとしてのキャリアを存分に見せ付けるものだったし、同時に新人バンドのような貪欲さと勢いをも感じさせるものだった。すでに何千回と演奏してきたであろう「ファイティングマン」が手癖や惰性になっていないのだよ。これはやっぱりすごいことだと思う。

エレファントカシマシ SET LIST
1.ズレてる方がいい
2.新しい季節へ君と
3.悲しみの果て
4.笑顔の未来へ
5.BLUE DAYS
6.今宵の月のように
7.デーデ
8.風に吹かれて
9.DESTINY
10.ハナウタ
11.俺たちの明日
12.ガストロンジャー
13.ファイティングマン

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エレカシからスタート!

 正直言うと前日までゲスの極み乙女に行くかどうしようか迷っていたのだけど、25年来のエレカシファンとしてのプライドを守って正解だった。ただ、ゲスはアーステントが入場規制ですごかったらしい。今の勢いを考えれば当然か。また別の機会に必ず見てみたいと思う。日差しが強く、この日だけでかなり日焼けしそうな天気。暑い。レッドスターに移動して、比較的列の短いこちらのいちごけずりに並ぶ。それでも20~30分くらいは並んだだろうか。ちょうどその間にSPECIAL OTHERSのステージが始まった。目の前で踊っている男の子(3歳くらい?)がレキシT着ていて超絶かわいかった。いちごけずり食べたり青いビール飲んだりフォロワーさんと話したりしながらスペアザを聞いて、本来ならそのままサンフジンズ、と思ったのだけど、あまりに暑いのと眠気が襲ってきたのであきらめてボヘミアンに移動。ボヘミアンのレストランエリアでおなじみだった絶品モヒートが無くなっていたのは同行者一同かなりショックだった。来年復活希望。日陰でかき氷を食べ、落ち着いたところで友人と合流。PA前に寝っころがりながらGotchのサウンドチェックを聞く。言うまでもなくアジカン後藤のソロなわけだけど、アコースティックでリラックスしたムードで、昼下がりにぴったりだなと思いながら聞いているうちに寝てしまった。30分くらいだったと思うけど、後々考えるとこの睡眠が地味に有効だったと思う。
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日陰で寝転がる。

 友人と別れ、アーステントでGRAPEVINEをチラ聞きしたり布袋のザンギ食べたりしつつ一度テントに戻る。この夕方が最も悩ましい時間帯。スカパラピロウズ憂歌団sleepy.abハスキンといったバンドが犇くタイムテーブル。考えたやつ出て来い、と言うくらいのかぶりっぷり。今回のメンバーからゲストが来ることが確実なスカパラも見たかったが、そうすると他のかぶりをほぼあきらめざるを得なくなる。悩んだ結果、昨日の成山内も良かったし、地元札幌のバンドだし、ということでsleepy.abからハスキンという流れで行くことにする。関西の友人はほとんど憂歌団に行っていた気がするけど、こういう場合の選択って最後は地元愛が出るような気がして興味深い。
 レインボーシャングリラでsleepy.ab。VJによる映像効果も交えたステージ。山内のテルミンによるサウンドも効果的で、サイケデリックな音像を醸し出していた。バンドセットでのsleepy.abの音は昨夜のアコースティックで聞いたものとは当然違う。浮遊感のある美しいメロディや繊細な声、という部分だけではない。前述のようなサイケデリアや歪みまくったギター、ソリッドなリズム、所謂シューゲイザー的とも言える美しいノイズで聞くものを魅了する。デビュー以来一貫して札幌に拠点を置き続け、高い評価を獲得している彼らは地元の人間にとってはやはり特別な存在だと思う。「sonar」「euphoria」「24」と続いた後半はまさに圧巻。「24」のアウトロでのカウントの中延々と渦巻くサイケデリックノイズは夕暮れに映え、本当に美しかった。

sleepy.ab SET LIST
1.インソムニア
2.アンドロメダ
3.メロディ
4.noise drive
5.sonar
6.euphoria
7.24

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気持ちいい。

(続く)