無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

日本一の無責任バンド。

ユニコーン ツアー2014「イーガジャケジョロ」
■2014/04/26@札幌市民ホール
 『イーガジャケジョロ』というアルバムは、再結成以降のユニコーンとしてはいい意味で最もいい加減に作られたアルバムだと思う。『シャンブル』『Z』とバンドの音楽的イニシアティブを取っていた阿部(ABEDON)に代わり、本作では作曲においても、ボーカルにおいても。EBI、川西さん、テッシーの3人が全体を引っ張っている。民生のボーカル曲がアルバムの中で半分に満たないのはユニコーン史上初めてのことだそうだ。前述の3人は現在ユニコーンとは別個に「電大」というユニットを組んでライブ、レコーディングを行っている。その勢いが本作のエンジンになっている部分は大きいのだろう。結果、最初に書いたように非常にいい加減で、そしてとっ散らかったアルバムになっている。一聴してどういう方向でまとめたいのかがよくわからないが、しかしユニコーンでしかできない絶妙なバランスとなっている。過去作でいうと『ハヴァナイスデー』とか『踊る亀ヤプシ』のテイストに近いかもしれない。
 再結成以降のユニコーンを見ていて思ったのは、とにかく、数年に一度の活動でもいいからこの5人がユニコーンを続けるのを見ていたい、ということだった。『イーガジャケジョロ』を聞いて、もうそんな心配はいらないのではないかと思った。本作のいい加減さ、やりたい放題さはバンドがいい状態であることを何より示している。バンドで息苦しくなった分を各々のソロ活動で解放する、というのが通常のあり方だと思うけど、本作を聞いてると逆にみんなソロで頑張った分ユニコーンでガス抜きをしてるのではないかと思うくらいだ。
 そういうわけで見てきた今回のツアーは、やはりいい意味で肩の力が抜けた、現在のユニコーンを非常によくあらわしたものになっていた。『Z』ツアーの時のような大掛かりなセットや仕掛けはほとんどなく、ステージそのものは非常にシンプル。曲によって小道具や、スクリーンを使用しての仕掛けがあり、それはそれで手が込んでいるのだけど、前回の派手さに比べればこじんまりしている。映像やMCのゆるさはいつものことで、肩肘張らずに5人がそれぞれの立ち位置で楽しんでいるのがわかるし、それを見てこちらも楽しくなる、という癒し感のあるライブだった。「俺のタクシー」の前の寸劇や映像を見ていて、これを40代後半〜50代のおっさんたちが考えて練習しているのかと想像するとたまらない気持になってくる。
 冒頭から飛ばしていたEBIのロックスターボーカルに始まり、途中の川西さんコーナーやテッシーコーナーも含め、やはりライブでも電大の3人がいつも以上に頑張っていた印象。メンバーそれぞれにスポットが当たる場面がきちんと用意されているのはユニコーンのライブでは当たり前のことだけど、それがより5人均一になった感がある。
 セットリスト的にもいわゆるベスト的なおなじみの曲は少なく、新作を中心にちょっとおふざけ的な曲も多く盛り込んだ印象。その中で、彼らが楽しそうに演奏しているのをいいなあと思って見ている2時間だった。さんざん楽しませつつ、アンコールラストの「すばらしい日々」ではしっかりと涙腺を刺激してくれた。ライブ中にライジングサンへの出演情報が解禁となったけど、このツアーでやりたい放題やった分、夏フェスはヒット曲満載のサービスセットになるんじゃないか、と少し期待してる。

■SET LIST
1.夢見た男
2.KEEP ON ROCK’N ROLL
3.スターな男
4.あなたが太陽
5.あやかりたい'65
6.お前Baby
7.ハヴァナイスデー
8.WAO!
9.鳥の特急便
10.俺のタクシー
11.トキメキーノ
12.イーガジャケジョロ
13.We are All Right
14.ユトリDeath
15.新甘えん坊将軍
16.それだけのこと
17.早口カレー
18.オレンジジュース
19.大迷惑
20.Boys&Girls
21.Feel So Moon
<アンコール1>
22.はいYES!
<アンコール2>
23.すばらしい日々

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