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無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

エクストリームな輝き。

ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ

ア・ヘッド・フル・オブ・ドリームズ

 前作『Ghost Stories』わずか1年半というスパンでリリースされた新作。前作は非常にミニマルで陰鬱な印象のアルバムだった。ただ、音楽的には非常に緊張感と統一感のあるアルバムで、ある意味コンセプト・アルバムという趣のものだったと言えるかもしれない。その暗さはおそらくはクリス・マーティンのプライベートな事情によるところが大きかったと思うのだけど、そのアルバムの中でも唯一煌くようなアンセムとして鳴っていた「A Sky Full of Stars」が異質なまでに印象的だった。そして本作はその「A Sky~」から繋がるように、全編がアッパーで光り輝く陽性のアルバムとなっている。
 彼らは前作リリース後ツアーに出ることなく、すぐに本作のレコーディングに入ったらしい。陰と陽、2枚でひとつの作品であるかのように、前作と本作は対を成す構造になっている。前作の陰鬱さからサイケデリックとも言える極彩色の世界へという、極端から極端に触れ切ったサウンド。ここまでやらなければバランスが取れなかったのだろうか。逆説的に、前作の闇の深さが本作から見えてくる。彼らのキャリアの中でも最もアッパーなアルバムだとは思うけれど、この極端さには狂気に近いものすら感じる。それゆえにポップでありながら、非常に生々しいものになっていると思う。
 現時点でコールドプレイは世界で最も巨大なポップ・バンドのひとつであることは間違いない。それは、音楽性やわかりやすいメロディーによるものだけではない。個人の感情から発した音楽が世界中に広がり、万華鏡のように聞く者の心を彩るダイナミズムを持っているからだ。これこそがポップ・ミュージックの本質だと僕は思う。

Coldplay - Adventure Of A Lifetime (Official video)