無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

岩瀬の偉大な記録について

 2017年のプロ野球交流戦が終わり、もうすぐ折り返し地点というところである。順位やけが人やチームの状態は12球団各々悲喜こもごもだと思うが、それは置いといてもうすぐ達成されそうな一つの大きな記録について考えてみたい。
 投手の通算登板試合数。現在のプロ野球記録は米田哲也氏の949試合。中日ドラゴンズ岩瀬仁紀投手は交流戦終了までで通算933試合。今季岩瀬投手はここまで29試合に登板しており、けがなどで長期離脱がない限り今季中に新記録達成の可能性が高い。
 プロ野球における通算記録やシーズン最多記録、特に投手部門の記録に関してはセーブやホールドなど後年になって正式に公式記録となったもの以外は1970年代以前の記録がほとんどである。例えば金田正一氏の通算400勝、4490奪三振稲尾和久氏・スタルヒン氏のシーズン42勝、江夏豊氏のシーズン401奪三振などだ。こうした大記録はチームのエースが先発もリリーフも兼任してフル回転していた時代のものだ。先発完投した次の試合でも連投も当たり前、やる側も使う側もそういうものだという時代だったとはいえ、今では考えられないようなブラック企業もびっくりの酷使があった時代に積み重ねられた記録たち。現在のように投手の分業制が確立し、先発の中6日ローテーションが定着した中ではもはや手が届くどころか指すらかからない記録だろう。そんな中、岩瀬が歴代記録1位に名前が上がることの偉業はもっと称えられていいはずだと思う。
 岩瀬は1999年のプロ入り以来、リリーフ専門として活躍してきた。2年目の2000年に1試合先発登板があるのみだ(ちなみにこのときは7回1失点で勝ち投手になっている)。15年連続50試合以上登板、通算402セーブなど数々の日本記録を持っているが、そこに通算登板試合数歴代1位の称号が加わろうとしている。けがから復帰後は以前のようなクローザーではなく左の中継ぎとしての役割だが、貴重な左のリリーフとして今でもベンチの信頼は厚い。来季も現役続行なら1000試合登板も視野に入ってくるだろう。
 偉大な記録や実績の割には地味な印象のある岩瀬ではあるが、プロ野球史に残る鉄腕リリーバーである。新記録達成の際には盛大に祝福したい。してあげてほしい。


個人年度別成績 【岩瀬仁紀 (中日ドラゴンズ)】 | NPB.jp 日本野球機構


歴代最高記録 登板 【通算記録】 | NPB.jp 日本野球機構