無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

私的・80年代の名サウンドトラック5選

DJイベントのためにいろいろと曲を選んでいたら、「そういえば80年代というのはいい映画のサウンドトラックがたくさんあったな」と思い返しました。

80年代はいわゆるMTV全盛時代。この時代のヒット曲はマイケル・ジャクソンやマドンナをはじめ、魅力的なミュージックビデオと共に記憶に残っているものがたくさんあります。つまりは音楽と映像が密接に関係していた時代なのです。

映画の中で使われた曲がヒットし、曲がヒットすることでまた映画も注目される。そんな相互作用がたくさんありました。

というわけで1980年代のサウンドトラックの傑作をいくつかピックアップして、徒然なるままに書いてみようと思います。

フットルース』(1984)

80年代の音楽映画と言えば最初に出てくるのが本作でしょう。ハーバート・ロス監督による青春映画です。

ケヴィン・ベーコン演じる高校生レンはシカゴから中西部の田舎町に引っ越してきます。そこはある高校生が起こした事故をきっかけに、音楽もダンスも禁止されているという町でした。レンは友人やガールフレンドの協力を得ながら卒業記念のダンスパーティーを行おうとし、大人たちと戦うというストーリー。

サウンドトラックから6曲の全米TOP40ヒットが生まれたという驚異のヒットアルバムです。ケニー・ロギンスによるタイトルトラックの他、No.1ヒットとなったデニース・ウィリアムス「レッツ・ヒア・ボーイ」、日本ではドラマ「スクールウォーズ」でもおなじみのボニー・タイラー「ヒーロー」など、名曲が目白押しです。

そして何よりこのサウンドトラックを特別なものにしているのは、全てのオリジナル楽曲の作詞を手掛けているのが映画の脚本を担当したディーン・ピッチフォード自身であるということ。劇中で曲が使われる時に、歌詞もそのシーンにピッタリなわけです。脚本家が書いてるわけですから当然ですね。

このこだわりがオムニバスでありながらアルバムとしての統一感につながってくるのです。

映画そのものは正直B級青春映画という感じですが、サウンドトラック含めて同時代を過ごした人には忘れられない作品であると思います。


Footloose - Kenny Loggins (1984) HD


Deniece Williams - Let's Hear It for the Boy


Bonnie Tyler - Holding Out For A Hero (Video)

ビバリーヒルズ・コップ』(1984)

ビバリーヒルズ・コップ オリジナル・サウンドトラック

ビバリーヒルズ・コップ オリジナル・サウンドトラック

  • アーティスト: サントラ,ハロルド・フォルターマイヤー
  • 出版社/メーカー: ユニバーサル ミュージック
  • 発売日: 2017/03/29
  • メディア: CD
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エディー・マーフィーを一躍トップスターに押し上げた傑作アクションコメディです。

デトロイト市警のアクセル刑事(エディー・マーフィー)は友人を殺した犯人を追って、単身ロサンゼルスに乗り込みます。監視役のロサンゼルス市警の刑事たちや友人ジェニーを巻き込み、口八丁手八丁で騒ぎを巻き起こすアクセルの活躍が描かれます。

この映画の爽快感はアクセルがロサンゼルスにやってくるシーンに集約されてると思うのですが、そこで流れるのがポインター・シスターズ「ニュートロン・ダンス」だったりパティ・ラベル「ニュー・アティテュード」といった明るく抜けのいいダンスナンバーです。

主題歌はグレン・フライ「ヒート・イズ・オン」。これもカラッと明るいロックナンバー。とにかく聞いていて楽しい、爽快なサウンドトラックです。

そして映画のメインテーマとして劇中何度も登場するのがハロルド・フォルターメイヤーによるインストナンバー「アクセルF」。シンセサイザーによるシンプルなサウンドと印象的なメロディーで一度聴いたら耳に残る曲です。インスト曲でありながらビルボードチャートの3位を記録する大ヒットとなりました。

1987年の『ビバリーヒルズ・コップ2』のサントラもいいんですが、個人的にはこの1作目を推したいです。


Axel F/Harold Foltermeyer 1984 (Audio/Video)


Glenn Frey, The Heat Is On


The Pointer Sisters Neutron Dance 1983 (Stereo)

マイアミ・バイス』(1985)

マイアミ・バイス

マイアミ・バイス

映画ではなくてTVドラマのサウンドトラックですが、80年代の名サントラとして記憶に残しておくべきアルバムだと思います。

ヤン・ハマーによる印象的なテーマ曲から、グレン・フライスマグラーズ・ブルース」、同じくグレン・フライによる名バラード「ユー・ビロング・トゥ・ザ・シティ」など、ヒット曲を多く輩出しました。

他にもチャカ・カーンフィル・コリンズティナ・ターナーなどが参加した豪華な布陣。

しかし、当時は今とは違って海外ドラマが気軽に見られる時代ではありませんでした。僕もアルバムは持っていたものの肝心のドラマ自体を見たのはだいぶ後になってからのことです。

スタイリッシュな刑事もので音楽を劇中にふんだんに使うというスタイルはおそらく「あぶない刑事」にも大きな影響を与えたのではと思います。


Jan Hammer - Miami Vice Theme (1984) HD


Glenn Frey - You Belong To The City - HD

『プリティ・イン・ピンク』(1986)

80年代には多くの青春映画が作られました。『ブレックファスト・クラブ』や『フェリスはある朝突然に』などで知られるジョン・ヒューズが製作・脚本を務めた本作もそのひとつです。

『ブレックファスト・クラブ』のヒロイン役だったモリー・リングウォルドが本作でもヒロインを演じていることから、所謂「ブラット・パック映画」に数えられる作品です。(ブラット・パックというのは当時青春映画によく出ていた俳優・女優たちの総称です。)

そしてこのサウンドトラックが実に素晴らしいのです。全米大ヒットを記録したオーケストラル・マヌーヴァーズ・イン・ザ・ダーク「イフ・ユー・リーヴ」をはじめ、サイケデリック・ファーズによるタイトル曲、スザンヌ・ヴェガ、イン・エクセス、ニュー・オーダー、エコー&ザ・バニーメンと素晴らしい布陣。

収録曲の多くはありもの曲の寄せ集めではなく映画のために書き下ろされたもので、オリジナル・アルバムに未収録のものも多いのです。

ラストを飾るのはザ・スミスの「プリーズ・プリーズ・プリーズ」。青春映画として完璧な選曲だし、アメリカ映画でありながらアーティストのセレクトがイギリス寄りなところも個人的には高ポイントです。

80年代に限らずとも、名サウンドトラックに数えられる傑作だと思います。


Orchestral Manoeuvres In The Dark - If You Leave


PSYCHEDELIC FURS : Pretty in pink (HD)

『カクテル』(1988)

Cocktail (Original Soundtrack)

Cocktail (Original Soundtrack)

  • Various Artists
  • ポップ
  • ¥1600

トム・クルーズ主演映画のサウンドトラック。映画とともに、アルバムも大ヒットしました。

ジャマイカが舞台ということもあって、主題歌「ココモ」は南国風味溢れるポップス。ビーチ・ボーイズに約22年ぶりの全米1位をもたらしました。

ボビー・マクファーリンドント・ウォーリー・ビー・ハッピー」も全米1位の大ヒット。今でもいろんな場面で耳にする名曲です。

ファビュラス・サンダーバーズジョージア・サテライツといった骨太なアメリカン・ロックからスターシップ、ロビー・ネヴィルらのポップス勢、ライ・クーダー、リトル・リチャードのルーツ・ミュージックとツボを押さえた選曲はある種見本市のようですらあります。

時代的にも80年代のバブリーな感じというか、「どうにかなるさ」という暢気さを感じさせたのはこのサントラが最後の方だったかもしれません。


The Beach Boys - Kokomo [Official Music Video]


Bobby McFerrin - Don't Worry Be Happy