楽しそうに時代を駆ける男。
香取慎吾の初となるソロアルバム。
「新しい地図」の3人の音楽活動についてはキャンペーン的なリリースはあったもののそこまでガッツリしたものではないという印象がありました。
しかしこのアルバムは本気度が違います。J-POPという枠を超えて、現在の世界基準で見てもかなり高品質のポップアルバムだと思います。
ジャニーズ時代、特にSMAPは曲のクオリティやアルバム制作にかなり力を入れていました。ソングライターや参加ミュージシャンのセレクトからしても「これはいいものができないわけがない」という布陣だったと思います。
正直、「新しい地図」になって音楽活動をやるとしてもそのレベルを期待するのは難しいのではとも思ってました。しかし見事にその予想を裏切ったのが本作です。
参加ミュージシャンは氣志團、KREVA、スチャダラパー等のベテランから向井太一、yahyel、BiSHなど若手まで幅広く、TeddyloidやSONPUBなど世界的に活躍するDJの名前もあり、かなり広範囲にアンテナを立てて「今の音楽」をカバーしようとしていると思います。
サブスクで簡単に音楽が聴ける現在は古今東西、メジャーからインディーまであらゆる音楽に対して等しくアクセスできる時代です。それが当たり前になったリスナーに対してどうアプローチしていくのかという一つの答えを見せてくれたアルバムのような気すらします。個人的なベストトラックはWONKをフィーチャリングした「Metropolis」。このサウンドはどこのフロアで流れても場を支配できるのではないでしょうか。
あえて比較する必要もないかもしれませんが、同時期にリリースされた木村拓哉のソロアルバム『Go With The Flow』がやはり様々なアーティストの曲提供を受けながら全体的にオーソドックスなロック・ポップス系で一面的な内容だったのとは対照的でしょう。
元々SMAP時代からクリエイター気質の高かった人ではありますが、より自由度の高い状況の中でやりたいことを爆発させたらこんな面白いものができましたという感じなのでしょうか。今後の活動にも注目せざるを得ません。