無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

The Show Must Go On.

Dragon Ash Live Tour 2017 MAJESTIC
■2017/09/08@札幌ペニーレーン24

 新作『MAJESTIC』を引っ提げてのツアーなのだけど、実は札幌でのワンマン公演は2007年の「DEVELOP THE MUSIC」ツアー以降、10年ぶりなのだそうだ。アルバムで言うと『INDEPENDIENTE』の時だ。個人的にはフェスでステージを見たり、『MIXTURE』時のツアーを渋谷で見たりしていたので10年ぶりと聞いて驚いた。なんでそんなに間隔が空いたのかはわからないけど、いろいろと大人の事情があるのかもしれない。個人的には馬場さんの急逝後、KenKenがライブに参加してからは初めて見るDragon Ashのライブになる。KenKenは新作でも全面参加しているし、公式のプロフィールでもメンバーと同等の扱いになっているしほぼ正式メンバーと言ってもいいのだと思う。扱いとしてはあくまでもサポートメンバーのようだけど、それはたぶん馬場さんに対する敬意と配慮なのだと思う。
 アルバム『MAJESTIC』がそういうアルバムであったように、アグレッシブな勢いと温かい包容力が入り混じるライブだった。序盤の「Mix It Up」とマッドカプセルマーケッツのカバー(!)「Pulse」からの「光りの街」「Ode To Joy」という対照的な流れが象徴的だったと思う。元々Kjという人はメロディーを作る才能にあふれていて、人を感動させる抒情的な曲を多く作ってきた。その半面、DAの音楽性は、ミクスチャー、ラウドロックもあるわけで、双方がお互いを引き立たせる形で成り立っている。ライブでもそれが絶妙な押し引きになるのだ。そしてここにきてエモーショナルな曲は前述のように包容力を強く感じさせるものになってきた。それはデビューから20年経ちアラフォーになったKjが辿ってきた年輪と無関係ではないと思う。若い頃は勢いに任せて周囲とぶつかったりすることがあったかもしれないし上の世代から眉をひそめられることもあったかもしれない。しかしKjもDAもベテランの域に入ってきた今、かつての自分たちのような若い世代に向けて道を示すような貫録と余裕が感じられるのだ。
 もちろん、ライブそのものはライブハウスの熱さとあいまってかなり激しいものだった。しかし攻撃的なだけではない、笑顔と楽しさと光に満ち溢れたものだった。それはDAのバンドとしての歩みと積み上げてきたものの重さを感じさせるもので、昔からのファンほど感動的だったかもしれない。「静かな日々の階段を」なんかは、むしろ今の方が説得力が増している気がした。本編後半での「百合の咲く場所で」「Fantasista」の連続攻撃はヤバかった。そしてアンコールの「Viva la Revolution」「The Lily」は感動的だった。長い年月を経て、DAは音楽をやり続けること、そして聞き続けることの尊さを感じさせるバンドになったのだなと思った。終演後は流した汗をぬぐいながらそんな感慨に耽っていた。

■SET LIST
1.Majestic
2.Stardust
3.Mix It Up
4.Pulse
5.光りの街
6.Ode To Joy
7.Singin' In The Rain
8.花言葉
9.Circle
10.Headbang
11.Faceless
12.The Live
13.Beside You
14.静かな日々の階段を
15.Jump
16.百合の咲く場所で
17.Fantasista
18.A Hundred Emotions<アンコール>
19.Viva La Revolution
20.Snowscape
21.Lily

Majestic

Majestic

MAJESTIC (初回完全限定盤)

MAJESTIC (初回完全限定盤)

レキシに見る、正統派コミックバンドとしての系譜。

■レキシ 「レキシツアー2017 不思議の国のレキシと稲穂の妖精たち」
■2017/06/21@わくわくホリデーホール(札幌市民ホール

 ライブ冒頭、レキシ、いとうせいこうみうらじゅんによる寸劇VTRがスクリーンに流れる。本当にどうでもいい内容なのだけど、一応ストーリー的なものがあって、池ちゃん演じる跡継ぎに家督を譲るというものだ。その証として玉手箱をもらうのだけど、決して開けるなと告げられる。しかしどうしても気になるレキシは箱を開けてしまい別の世界へ…。そうしてステージ上のでかい玉手箱から池ちゃんが登場し、ライブが始まるという演出。
 レキシのライブはとにかく楽しい。などということはファンなら誰しもがわかっていることだと思うが、エンターテインメントとしてのエネルギーがハンパない。普通に曲を演奏するだけでももちろん楽しいのだけど、それで終わることはまずない。1曲の中にもガンガン他の人の曲をぶち込んでくる。それは時にダジャレであり、同じコード進行であり、思いつきだったり様々だ。この日ワンフレーズだけでも歌った、他人の曲を下にリストアップしてみたが、見た通りやりたい放題である。そしてMCは一旦始まれば客いじりもあり、メンバーいじりもあり、またカラオケ大会が始まったりと次の曲に行く気配がない。池ちゃん自身も自虐ネタにしているが、必然「ライブが長い。曲数が少ない。」ということになる。今回は曲数を稼ぐためにメドレーを導入したりしていたが、多分そういう問題ではないと思う。
 レキシのMCを聞いて(見て)いると、どこまで事前に決めているのだろうと思う。おそらくはほとんどアドリブで、その場の流れで進んでいるのではないかという気もする。だとしたら、これは相当なアドリブコントだと思う。実際、ライブバンドとしてのレキシは日本におけるコミックバンドの系譜に沿っていると僕は思っている。池ちゃんに無茶ブリされて戸惑う場面もあるが、バックを務めるメンバーたちは皆素晴らしいプレイヤビリティを持った一流のミュージシャン揃いだ。優れたコミックバンドというのはすべからく高い技術を持っている。逆に言えば、技術がなければコミックバンドなどできないと思う。クレイジーキャッツも、ドリフターズも、ビジーフォーも、米米CLUBもそうだった。皆きちんと演奏もできる人たちばかりだった。特にクレイジーは一流のジャズミュージシャンの集まりだった。植木等もとてつもなく歌が上手い人だった。歌が上手くなければ、そもそも「ハイそれまでよ」という楽曲は成立しない。コミックバンドが音楽で笑いを生み出すことの基本は本来あるべき「間」を外すことでズレを起こし、ずっこけさせることだと思う。わざと「間」を外すには、そもそも正しい「間」で演奏ができなくてはならない。決めるところはカッコよく決められてこそ、そのギャップにより笑いが生まれるのだ。これが、僕がコミックバンドに高い技術が必要だと思う理由。曲の途中でアクロバティックに違う曲が挿入されてもそれに対応できるメンバーたち。その技術にレキシのライブが支えられていることは疑いようがない。
 池ちゃん自身のトークスキルも高い。客やメンバーを巻き込み巧みに笑いに変えていく。後半は楽曲ペース的に持ち直したものの、本編までで2時間半、13曲。アンコールでようやく稲穂の出番。だが、池ちゃんはじめメンバー全員緑色の全身タイツで登場。これがツアータイトルにある「稲穂の妖精」ということのようだ。正直、リトル・クリーチャーズ鈴木正人氏が全身タイツを着ている姿は見たくなかった。(奥田健介玉田豊夢渡和久はいいのかというとそうではないのだが)もうこれはレキシメンバーになってしまったが最後、諦めるしかないんだろう。3時間たっぷり、でも曲数は14曲というプログレバンドのようなセット。十分に楽しませていただきました。

■セットリスト
1.KATOKU
2.大奥 ~ラビリンス~
3.KMTR645
4.武士ワンダーランド
5.飛脚記念日なぅ(妹子なぅ~真田記念日~RUN 飛脚 RUN)
6.最後の将軍
7.SHIKIBU
8.キャッチミー岡っ引きさん
9.アケチノキモチ
10.憲法セブンティーン
11.刀狩りは突然に
12.姫君Shake!
13.きらきら武士
<アンコール>
14.狩りから稲作へ

↓それ以外でやった曲(さわりだけのワンフレーズも含む)
チョコレイト・ディスコ
ら・ら・ら
タッチ
アンパンマンマーチ
あったかハイムの歌
NO WOMAN NO CRY
Lifetime Respect
前前前世
恋(星野源
口唇
EZ DO DANCE
SURVIVAL DANCE
関白宣言
千の風になって
卒業写真
NAI NAI 16
空に太陽がある限り
恋(松山千春
愛してる(風味堂
大都会
ラブストーリーは突然に
さくらん
北の国から
言葉にならない
SHAKE
涙のリクエスト
スキャットマン
プリプリ・スキャット
EVERYTHING
涙がキラリ
サザエさん一家
君がいるだけで

KATOKU - EP

KATOKU - EP

  • レキシ
  • J-Pop
  • ¥1000
KATOKU

KATOKU

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2017 in EZO感想(5)~太陽のブルース

■2017/8/12@石狩湾新港特設ステージ

 コーネリアスの後、そのままレッドスターに待機。suchmosを待っている間にレッドスターにどんどん人が集まってくる。最終的には通路側まであふれるくらいになっていたと思う。今年のsuchmosの勢いを考えれば当然だろう。「STAY TUNE」での盛り上がりは別格に近いものがあったにしても、全体としてはどこか淡々と演奏していたような印象だった。でもその姿が逆に圧倒的な自信と余裕を感じさせるものでもあった。流行り物、まがい物的な見方を真正面から覆した『THE KIDS』でsuchmosは確実に一段上のステージに上がったし、この日はもちろん、今年の彼らのステージはどのフェスでもツアーでも、勝利宣言に近い光を放っていたんじゃないかと思う。ラストに演奏した最新EPからの「OVERSTAND」は勝利の凱歌というにはややセンチメンタルな歌詞だが、自身のレーベルも設立して新たなスタートを切ったバンドの現状として、今までと同じではいられない事、あるいは人に対しての決別なのかもしれない。壮大な雰囲気でステージは終わった。かくいう僕もどっかチャラいバンドなんじゃないかと思っていたフシはあるのだけど、ライブを見ると思った以上に一本芯の通ったバンドで、自信と覚悟が見える堂々たるステージだったと思う。でも、サウンドのルーツとしてジャミロクワイだったりアシッドハウスが透けて見えたり、YONCEのステージ上での不遜な佇まいはリアム・ギャラガーそのままだったり、そういう影響を隠さないところはちょっと可愛げがあるところかもしれない。次来るときはもうサンステージなんだろうな。

suchmos
1.YMM
2.alright
3.BODY
4.FACE
5.TOBACCO
6.SNOOZE
7.STAY TUNE
8.GAGA
9.OVERSTAND

FIRST CHOICE LAST STANCE

FIRST CHOICE LAST STANCE

 このあたりが体力的にもきつくなってくる時間帯。一度テントに戻って休もうかどうしようか迷う。サンステージでのRIZEにはCharと金子マリがゲスト出演することが事前にアナウンスされていて、そっちの父兄参観ライブも興味あったのだけど移動がきついのであきらめてレインボーに移動。石野卓球オーガナイズのオールナイトパーティーもLOOPA NIGHTからTONE PARK、そして今年からSONIXTATIONとリニューアル。ただ、基本的なコンセプトは変わっていない。ちょうど時間的に大沢伸一のプレイを見ることができた。前半はアゲアゲの硬質なビート主体だったのが、後半でMONDO GROSSOの新作『何度でも新しく生まれる』からの曲もプレイしてくれた。「ラビリンス」はホントいい曲だよねえ。体を揺らしつつちょっと休んだので再びレッドスターに移動。銀杏BOYZをちょっとだけ見てテントで少し休もうかと考える。今NHK朝ドラの「ひよっこ」見てて峯田が宗男おじさんってすごいいい役やってるし、ちょっと応援しようと思って端っこの方で見る。最初峯田が一人で出てきて弾き語りで「光」を歌い始める。このまま弾き語りと打ち込みリズムだと辛いなと思っていたらバンドが登場。ギターは歪みまくって相当ガレージパンクっぽいドシャメシャな音なんだけど、その中で峯田の声とメロディーがくっきり浮かび上がってくる。名曲、代表曲、そして新曲とどれもいいのですよ。ちょっとうざくて熱いMCもこの言葉とメロディーがあればこそというか。峯田和伸という人の不器用さと真摯さが生で伝わるライブは音源の5000倍くらい心に刺さる。後半、「銀河鉄道」でちょっと泣いてしまいました。

銀杏BOYZ
1.光
2.若者たち
3.駆け抜けて性春
4.恋は永遠
5.骨
6.夢で逢えたら
7.エンジェルベイビー
8.新訳 銀河鉄道の夜
9.BABY BABY
10.ぽあだむ

恋は永遠(初回生産盤)

恋は永遠(初回生産盤)

 銀杏が良すぎて結局最後までガッツリ見てしまい予定変更。休憩なしで大トリのくるりへ移動することに。このあたりだともうほとんど雨は降っていなかった。長靴歩きによる負担もあって体力的には限界に近い。しかしあの雨の中ここまで乗り切ったという充足感ともうすぐ今年もライジングサンが終わってしまうという寂しさが相まって妙なテンションになっていた。それが眠気を遠ざけていたのだと思う。
 くるりもしばらくライブから遠ざかっていた気がする。たぶんここ数年はフェスでも見ていない。ゆるーい感じでメンバーが登場し、ゆるーく始まった。くるりがトリということでガンガンに盛り上がってフェスを打ち上げるようなライブにはならないことはわかっていたけれど、想像以上にまったりと音を味わうようなステージになった。それでも「虹」や「ワールズエンドスーパーノヴァ」のような代表曲のイントロが響くと大歓声が上がる。サポートメンバーも結構入れ替わるバンドだけれど、今回はドラムがクリフ・アーモンドだった。そのせいもあってか、中盤は『アンテナ』『Nikki』の曲が多かった。この辺はくるりのキャリアの中でも最も無邪気にUS、UKのロックを標榜していた時期だと思う。両方とも今でも結構好きなアルバムだ。しかし初っ端が「鹿児島おはら節」で始まったことを思うと幅の広いバンドである。それがくるりの面白さであり、わかりにくさでもあると思うのだけど。そろそろ空が明るくなってきた。しかし重い雲に阻まれていてとても朝日が顔をのぞかせる状況ではない。それでも岸田は「どうしてもこの曲やりたい」と言い、「太陽のブルース」を歌いだした。来し方を振り返ることをネガティブに感じるのではなく、それでも前を向くことに背を押し、優しく包み込むように歌われるこの曲は年を重ねるごとに味わいを増していく。そこにあるはずの太陽に向けて、というだけでこの曲が選ばれたのではないと思う。この日のくるりのステージには、フェスが終わりみんな日常に帰っていくためのレールを敷いていくような雰囲気があった。「太陽のブルース」はその一つの象徴だったと思う。完全に夜が明けた後半は比較的新しい曲を中心に演奏。最近のくるりの無国籍感、ごった煮感は嫌いではない。パンク感の薄いソウル・フラワー・ユニオンみたいな感じがする。
大トリということで、自然とアンコールが沸き起こる。本編には入っていなかったけれど、僕はどうしても聞きたい曲があった。中盤『アンテナ』の曲をやっていたあたりからずっとうずうずしていた。この曲を聴くことで、何も思い残すことなく日常へと帰って行ける気がした。「ロックンロール」のイントロで涙が出てきて、気がついたら大声で歌っていた。ありがとうございました。

くるり
1.鹿児島おはら節
2.虹
3.ワールズエンドスーパーノヴァ
4.ばらの花
5.モーニングペーパー
6.Hometown
7.黒い扉
8.Long Tall Sally
9.Superstar
10.太陽のブルース
11.琥珀色の街、上海蟹の朝
12.ロックンロール・ハネムー
13.everybody feels the same
14.Liberty & Gravity
(アンコール)
15.ロックンロール

https://www.instagram.com/p/BXtQtCNhvTK/
朝日は心の目で見る。 #rsr17

 夜が明けたとはいえ気温は低い。営業終了している店も多い中、まだやっている屋台でラーメンをすすり、テントに戻る。2時間ほど仮眠して、友人たちと感想を言い合ったりしつつ撤収作業。今年は雨と寒さで疲労もきつかったけど、充実感もあった。でもやっぱり、この荷物持っての帰り道は終わってしまった寂しさが一番強い。パーティーの後はいつも寂しい。祭りは終わってしまった。日常が始まる。もちろん日常にも楽しいことはいくらでもあるのだけれど、また来年この場所で楽しむためにいろいろなことを乗り越えて耐えていくのだ。
あと、今年はチケットが売り切れという事態になったわけだけど、会場内の人の行き来や屋台の行列、トイレの混雑などで人の多さを感じることはあまりなかった。悪天候のせいもあるのかもしれないけど、感覚的には特に昨年と大きな違いはなかったと思う。若干レイアウトの調整はあったかもしれないが、会場の広さやトイレの数などにそこまで違いがあったとも思わない。もしかしたら転売屋が捌き切れなくて残った分が相当数あったのかもしれない。だとすると、行きたくてもチケットが手に入らなかった人がいるのはやっぱり不健全だし、許せませんね。フェスに限らず転売厨対策は必要だし、我々参加する側もそういう輩にかかわらないよう留意すべきだと思います。それではまた来年。お疲れ様でした。
(了)
https://www.instagram.com/p/BXtOxuJhqC-/
さあ、皆さん今から来年の準備を。

RISING SUN ROCK FESTIVAL 2017 in EZO感想(4)~今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる

■2017/8/12@石狩湾新港特設ステージ

 ZAZEN BOYSからそのままデフに残ってeastern youthか、サンステージで久保田利伸か、被りが痛い時間帯。結局、現時点で一番見たい、見ておきたいという欲求に従ってぼくのりりっくのぼうよみ。僕が移動したときにはまだそれほどレインボーは混んでいなかった。ステージ上にぼくりり本人は不在で、バンドがサウンドチェックを行っている。キーボード、ドラム、パーカッションにDJ。純粋なヒップホップとは違うと思っていたので1DJ1MCのようなスタイルではないと思っていたけど、編成は想像以上にバンドだった。ボーカルなしで「shadow」の演奏でリハを行う。かなりグルーヴィー。時間になり、いよいよ本人登場。思ったよりも小さい。そして写真で見るよりもさらに童顔。実際まだ10代だけど、子供みたいに見える。お肌もツルツルそうだ。音源とはまた違った生音を含むグルーヴに乗せて流麗なフロウとメロディーが歌われる。難解で哲学的なテーマやポップスではあまり使われない言葉のチョイスなどに独自のセンスを持つ人だと思うけど、ライブのテンションとスピード感の中では殆ど言葉は聞き取れない(速いテンポの曲だと特に)。サウンドとビートを感じて体を揺らしながら聞くのが正解なのかな。椎名林檎の「本能」のカバーをやったのだけど、この辺に彼のルーツが見えて興味深い。やはりヒップホップは彼の出自ではなくて、彼の音楽の一要素に過ぎない。独自の言語感覚を持つテン年代のポップスとして聞くべきなんだと思う。個人的にはやっぱり見ておいてよかったです。

ぼくのりりっくのぼうよみ
1.Be Noble
2.sub/objective
3.CITI
4.つきとさなぎ
5.Collapse
6.Sky's the limit
7.(新曲)
8.本能
9.lier
10.Noah's Ark

 ブレイクの時間帯、レッドスター近辺で食事をしながら小休止。次はレインボーでAwesome City Club(ACC)なのだけど、混雑が怖いので早めに移動する。テントの中で待っていたので花火が見れませんでした。残念。ACCも、今年ライブを見ておきたかったバンドの一つ。昨今のシティポップ的なサウンドを志向するバンドの中でもソングライティングやサウンドのきらびやかさでは群を抜いていると思っていた。サウンドチェックの間から声援がすごい。人気と期待感の高さがうかがえる。8月末に初のベスト盤のリリースが控えているとあって、「Awesome City Tracks」シリーズから万遍なく選ばれたセット。演奏は決して下手ではないのだけど、テープ使用も多いしバンドとしてのグルーヴやアンサンブルを感じるというよりはやはりサウンド全体のキラキラ感を楽しむという感じ。ただ、atagiのボーカルは生で聞いてもセンスを感じる。ほぼ全編ファルセットの「Cold & Dry」もキツそうな感なく歌いきる。「今夜だけ~」のように完全に男女デュエットの曲だと、バービーボーイズがシティポップをやっているような感覚。ここは強みだと思うので、こういう曲をもっと聞きたい。シティポップ感のあるバンドは一種の流行りもあるのかもしれないけど、出尽くした感があるのでこれからは淘汰が始まっていくと思う。単に雰囲気でのオシャレ感をなぞっているようなバンドは長続きしないと思う。ACCはサウンドのルーツがしっかり見えるので大丈夫だと思うし、新曲「ASAYAKE」のように、スタイリッシュと汗臭さをいいバランスで行き来できるのもいいと思う。これからも期待してます。で、PORINちゃんは本当にかわいかったんだけど、結構近くにいたPORIN推し?のやつが曲間のたびに「PORINちゃーん!PORINぢゃーーーん!ほ、ほーっ、ホアアーッ!! ホアーッ!!」というテンションでうるさかったのには辟易した(後半の方はそいつが叫ぶたびに笑いが起きていた)。でもまあ、いやな顔せずにMCで軽くあしらうあたりもよかったと思います。

Awesome City Club
1.Don't think, feel
2.It's so fine
3.アウトサイダー
4.青春の胸騒ぎ
5.Cold & Dry
6.Jungle
7.Pray
8.ASAYAKE
9.今夜だけ間違いじゃないことにしてあげる

https://www.instagram.com/p/BXseboehpjE/
おいパイネ食わねえか。

 急いでレッドスターに向かうと、すでにコーネリアスのステージが始まっていた。僕が聞いたのは「Drop」から。10月にツアーを見に行くこともあって、後ろの方でパイネを食べながらゆっくり見ることにする。遠かったのでメンバーはよく見えなかったんだけど、バッファロードーターの大野由美子がいたと思う。あとは堀江博久あらきゆうこかな。恐らく、ツアーもこのメンバーで回るんでしょう。楽しみ。で、このステージが凄まじくて、野外のフェスとは思えないほど映像とサウンドのシンクロ率が高い。照明はともかく、ここまで高精度な映像演出をフェスで行うのは難しいでしょう。そして音の立体感、クリアさ、音質の良さは僕が今まで野外フェスで聞いた中では1,2を争うレベルだったと思う。音でも映像でもものすごいことがステージ上で行われていたと思うんだけど、サウンドの心地よさのせいかそれほど熱狂や興奮という感じのリアクションではなかったかもしれない。ただ、本当にフェスでこのレベルのステージを体験できるのは稀有だと思うし、ツアーへの期待値がリミッター超えになるようなライブだった。これをフルサイズでライブハウスで体感できるのは本当に楽しみ。そして同時に、このステージを野外で(しかもレッドスターはハマっていた)見れたのも良かった。

Cornelius
1.いつか/どこか
2.Point of View Point
3.Helix/Spiral
4.Drop
5.Count Five or Six
6.I Hate Hate
7.夢の中で
8.Beep It
9.Fit Song
10.Gum
11.Star Fruits Surf Rider
12.あなたがいるなら

Mellow Waves

Mellow Waves

 コーネリアスはフジでも同様のハイクオリティなライヴをやっていたみたいだし、エイフェックス・ツインなんかもかなりすごい映像演出をやっていたらしい。野外のフェスでもそういうことが当たり前にできる時代になってきたのかもしれないですね。
(続く)

■RISING SUN ROCK FESTIVAL 2017 in EZO感想(3)~耳から飛び出る昇り龍

■2017/8/12@石狩湾新港特設ステージ

 朝起きると、結構な勢いの雨。昨夜から降り続いていたらしい。予報を見ると日曜の朝まで降るらしい。というわけで上下レインコート、長靴を装備して完全武装で臨むことにする。会場についてもやはり雨。会場外駐車場に車を止め、テントエリアに向かう。同行の友人たちはテントの中にいるのか、いないのか。とりあえず、雨の会場がどんな感じなのか探索に出た。雨が激しかったので本来なら朝食でにぎわう屋台も閑散としている。そんな中行列ができているのはやはりニセコピザ。名物のベーコンエッグロールを食べなくては、やはり一日が始まらない。雨が滴る中、木陰に入って無理矢理食べました。それでもやっぱり美味かったです。普通なら朝からでも長蛇の列になるいちごけずりもすぐ買えた。
https://www.instagram.com/p/BXrMz2yhlFD/
土砂降りの中キメた。雨混じりでもやっぱり美味い。
https://www.instagram.com/p/BXrOjopBCPP/
全然並んでないよ!

 ちょうど祭太郎のラジオ体操が始まりそうな時間だったので行ってみると、「雨に負けるなー!」的な演説を声の限りにしておりました。そしてラジオ体操へ。雨の中わざわざ集まった酔狂な人たちに、祭太郎からタオルのプレゼントが。ありがたく使わせていただきました。
 多少弱まる時間帯があるくらいで、雨は一向に止む気配がない。フェスなのでこういう時もある。そしてこういう時は腹をくくってこれもまた一興と土砂降りのフェスを楽しむしかない。そのための雨具の準備であり、完全武装だ。とはいえずっと外にいると寒いので喫煙所ブースで雨宿りしたりレッドスターカフェで温かい飲み物を飲んだりする。ほどなくしてレッドスターでこの日のオープニング、スクービードゥーのリハーサルが始まった。サウンドチェックからMOBYのドラム、「ダ・チーチーチー」が炸裂してアガりまくり。そして山下達郎RIDE ON TIME」や小田和正ラブストーリーは突然に」などを本意気でやるという熱の入ったリハーサル。「もうちょっとしたら本物のスクービードゥーが出てきますんで」というジョークで捌けていった。そして本編。雨の中集まったお客さんは彼らの音で踊りたくて来ている。そして雨も関係なく、色とりどりのレインコートや雨合羽で踊る。バンドも躍らせる。その共犯関係が楽しい。4月にリリースされたシングル「ensemble」に収録された「Last Night」にまつわるエピソードが印象的だった。彼らは現在自ら設立したCHUMPレコードというインディーレーベルを運営し、マネージメントも自分たちで行っているが、それ以前は山下達郎が所属する「スマイルカンパニー」という事務所に所属していた。独立する際に山下達郎に挨拶に行き、かけられた言葉が今も忘れられないという。「他には負けないという、自分たちだけの武器を見つけてそれを磨きなさい」「日本全国には君たちの音楽を待っている人が必ずいる。そういう人が一人でもいる限り、その人に向けて演奏しなさい」ということを言われたのだそうだ。「Last Night」はこのエピソードをそのまま歌詞にしたのだという。彼らのステージがなぜいつも熱いのか、その理由がわかる気がした。10月にリリースのニューアルバムからも1曲演奏した。後半はガンガンに盛り上げて、デビュー曲「夕焼けのメロディー」でしめる。雨関係なく踊ったし、楽しい。そしてライジングサンというフェスに対する愛もビンビンに感じる、いいステージだった。

SCOOBIE DO
1.アウェイ
2.真夜中のダンスホール
3.ensemble
4.Funki''S''t Drummer
5.バンドワゴン・ア・ゴーゴー
6.Last Night
7.Cold Dancer(新曲)
8.新しい夜明け
9.Back on
10.夕焼けのメロディー

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https://www.instagram.com/p/BXrvP3ghVTt/
今年は会場外駐車場なもんでこっちから入ることがほとんどない。
https://www.instagram.com/p/BXrva2vhc0R/
グッズ売り場前。2010年を髣髴とさせる田んぼ具合。

 16時からPROVOテントにて中村達也独り叩きという、激しくそそられるステージがあって、それまでは特に予定なし。なので、タバコ吸ったり軽く食べたりしつつ雨の会場内をぶらぶらする。今年は会場外駐車場なのでメインのヘブンズゲート側から入場していない。あのゲートの所で写真撮るのが恒例なので、一度行ってみることに。すると、メインゲート付近が雨で完全に水没していた。今日から参加の人たちも当然いるわけで、そういう人たちは荷物持って台車引いて、まずこの水たまりとはもはや言えない単なる沼を通らなくてはいけない。何という試される大地。ピンバッヂガシャやグッズ売り場の方も完全に水田化していて、2010年の大水害を彷彿とさせる。JTやコールマンブースのすぐ隣にあるクリオネのテントエリアではテントが水没しているところも散見された。来年以降の場所取りにも影響しそうな、雨の被害だった。
 中村達也独り叩き。小さなPROVOテントにドラムセットのみが置かれている。ステージと観客の距離はほんの数m程度。こんな至近距離で達也のドラムが見れる機会はそうそうないだろう。中村達也はドラムセットに座り、おもむろにプレイを始める。時に激しく、時にスローダウン、時折声を上げながら40分間叩き続けた。正真正銘ドラムのみ、ゲストや他の楽器、音は一切なし。凄まじい時間だった。中村達也は彼がドラムを叩くだけでロックンロールを体現できる次元まで来ていると思った。というか、これはもう舞踏とか書道とかそういう芸術や匠の世界にむしろ近いのじゃないかという気もする。外に向かって発散するというよりはストイックに自己探求するようなものなんじゃないだろうか。少なくとも上手いとか下手とかそういう所で彼はプレイしていないと思う。すごいと思ったし興奮したけど、それ以上にその気迫にあてられてしまったような、そんな時間だった。

 ちょっと気を落ち着かせてからデフガレージに。生で見るのは多分8年か9年ぶりだろうZAZEN BOYS。先に見た中村達也独り叩きにも通じるが、彼らもまたどこか修行僧のような雰囲気が漂うバンドである。向井秀徳の前にはキーボードはなく、ギターオリエンテッドな編成のようだ。久々なこともあって、演奏が始まっても何の曲かわからないことが多かった。軸になるアレンジそのものが大きく変わったわけではないのだけど、導入や間奏に関しては相当、変化してきている印象だ。しかし細かな変拍子が入り乱れるテンション高い演奏はやはりさすがとしか言いようがない。「COLD BEAT」の間に「泥沼」を挟んだメドレーが凄まじかった。ギターの吉兼がベース吉田一郎に口三味線で何度もリフを伝えるところがたまらなくZAZEN BOYSだった。いやギター弾けよって話なんだけど、全員の中でビートとフレーズが共有されてないと演奏が崩壊してしまうというギリギリのバランスの中で彼らの演奏は成り立っている。ライヴではそのヒリヒリした感じがよく伝わってくる。彼らのライヴを見るといつもキング・クリムゾンが頭に浮かんでくる。それはリフ主体の演奏だとか変拍子を多用するとか表面的な話ではなくて、このグルーヴを体得するまでに積み上げた訓練・鍛錬(=Discipline)の密度が透けて見えてくるからだと思う。本当にストイックなバンドだと思う。もっと長い時間で見たかった。

ZAZEN BOYS
1.Fender Telecaster
2.HIMITSU GIRL'S TOP SECRET
3.COLD BEAT~泥沼
4.Fureai
5.RIFF MAN
6.破裂音の朝
7.自問自答

(続く)