無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

Oasis

■2000/03/05@横浜アリーナ
 気がついたら横浜アリーナの前にいた。と言うくらい自然に引き込まれるように見に来てしまったオアシス。ただ個人的には前回の来日のようにテンパった感じではなく、本当にごく自然に、絶対見れるもんだという妙な安心感があった。そんな中始まったステージは、頭から3曲は新作と全く同じ曲順で進んだ。「WHO FEELS LOVE?」はアルバム中でも最も好きな曲なので歌ってるうちにボロボロ涙が出てきてしまったが、それ意外は驚くほど淡々とステージは進んでいった。
 メンバーが変わったために、バンドのグルーヴ自体は今回のほうがかなり良かった。上手いメンバーが入ったので演奏が非常にかっちりとまとまっている印象を受けた。「シガレッツ&アルコール」の後にジャムセッション風の即効演奏が入ったのだが、これが結構カッコ良かった。はじめてオアシスにバンドマジックというものが生まれつつあるんじゃないだろうかという気すらした瞬間だった。ノエルが今のメンバーでの演奏にかなり満足していることがよく分かった。そのせいか、リアムのテンションも安定しているようで、ノエルボーカルのナンバーの後ステージに再登場してもテンションががた落ちしている、とか言うこともなかった。言ってしまえば非常にプロフェッショナルなステージだったのだ。
 オアシスは新作で今までに比べればかなり音楽的な実験を行っているが、それとても決して大衆に受け入れられる「みんなのうた」を放棄したのではない。セットリストを見てもわかるが、新作からの曲以外はベスト的な選曲である。観衆が求めているものを素直に提供したといえるだろう。それに合わせてオーディエンスは思い思いに体を揺らし、歌い、叫んでいた。(他の公演はどうなのか知らないが)少なくともこの日のオアシスは世界一のジュークボックスとしての機能を忠実に、プロとして全うしていたといえるだろう。もちろんこれは最大級の賛辞のつもりである。ステージの上には驚くようなドラマもピリピリした緊張もない、ただ至高のメロディーを奏でる最高のバンドがいただけだった。でも、それ以上何を求めるというのだ?16曲、90分というステージに不満の声が上がったのは分からないでもないが、オアシスのステージは「ロックコンサート」じゃないのだ。ただのギグだろう?ノエルは言っていたはずだ。「オアシスはまたここから始めるんだ」
 今日のラストは「ロックンロール・スター」だった。もう、それで十分に今のオアシスの決意が伝わったライブだった。ようやくオアシスは等身大のバンドになれたのじゃないかという気がした。そして、僕はそれがものすごくいいことなんじゃないかと思うのだ。

■SET LIST
1.FUCKIN' IN THE BUSHES(SE)
2.GO LET IT OUT
3.WHO FEELS LOVE?
4.SUPERSONIC
5.SHAKERMAKER
6.ACQUIESCE
7.SUNDAY MORNING CALL
8.WHERE DID IT ALL GO WRONG?
9.GAS PANIC!
10.ROLL WITH IT
11.STAND BY ME
12.WONDERWALL
13.CIGARETTES & ALCOHOL
14.DON'T LOOK BACK IN ANGER
15.LIVE FOREVER

16.ROCK 'N' ROLL STAR