パーフェクト・ストーム

パーフェクト ストーム 特別版 [DVD]

　1991年に実際に起こった漁船の悲劇を描くパニック・ムービーなわけだけど、例えば「タイタニック」なんかとはドラマの深さが違う。あんな薄っぺらい恋愛に逃げないからね。実際、船の上で何が起こったかなんて誰にも分からないわけだ。帰ってきた人がいないんだから。でも残された遺族からの証言を元にした詳細な役作りと丁寧なドラマの描き方によって、ホントにこうだったんじゃないかと思わせる説得力がこの映画にはある。別に僕は漁師に憧れてるわけでもなんでもないけど、こういう男くさい友情物語とか男のロマン的世界にはグッと来ちゃう方なんだよね。
　しかしそのドラマも映画の中じゃ枝葉なんだ。本当の主役と言ってもいい嵐の絵がとにかく凄い。どうやって撮ったんだこれ。CGの量もハンパじゃないみたいだけど、クライマックスのでっかい波のシーンとかマジで恐いよ。その、人間の力じゃどうしようもない状況に陥ったときのどうしようもなさ加減が画面いっぱいに広がって、見てる方もああダメだこりゃってなっちゃう。最初僕は何の根拠もなくきっとみんな生きて帰るんだろうと思ってたんだけど、ダメダメ。もう。無理だよこりゃ。その、波の絵見たら一発だもん。自然は驚異だとか漁師の生活がどうだとか余計なメッセージ性は置いといて、嵐の凄まじさをエンターテインメントとして描ききったそのハリウッド的割り切りの良さにはやはり感服ですね。