無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

エレファントカシマシ

■2001/01/04@日本武道館
 下がこの日のセットリスト。見て分かるとおり、非っ常にバランスがいいものになっている。ある意味でエレカシベスト的内容だ。この日はスカパーかどっかの生中継が入ってたことも無関係ではないだろう。時間もきっかりに始まって2時間きっかりで終わるという、パッケージショウとしてはとても高い完成度にまとまっていたライブだったと思う。ただその分、見てても破綻はなく、突き抜けた部分も感じられないライブだった。じゃあ見ててつまらなかったかというとそうでもなく、何とも複雑な気分なのである。
 「デーデ」、「星の砂」というファーストからの懐かしい曲もあり、同じく懐かしい4th『生活』からの「月の夜」なんていう曲もあり、そして久々に聞いた「珍奇男」はやっぱりとてつもなくカッコ良かった。昔からのファンも満足する内容になっていたのだ。キャニオン時代の代表曲もまんべんなく抑え、「ガストロンジャー」をはじめとするニューモードエレカシもきちんと見せるという、そのキャリアをまさに総括するような内容だった。今回の冬のツアーのファイナルであり、そして武道館という場所が持つ意味もあったと思う。いろいろな要素があって、この日のようなライブになったのだろう。ただ、やっぱり『good morning』発表後のライブハウスツアーにあったあの「熱」はこの日にはなかった。客の6〜7割が女性だったというのもあったかもしれない。僕の隣の人は晴着だったし。正直言えば『good morning』以降のエレカシはここには見えなかった。今のエレカシの世間での受け入れられ方(テレビでのウケ方や、アルバム『sweet memory』の好調なセールスなど)と、『good morning』モードのエレカシのズレのようなものも感じられた。それに対して宮本本人もちょっと苛立っているようにも見えた。うがった見方かもしれないけど。確かに「ガストロンジャー」以降の戦闘モードエレカシの世間への浸透度は思ったほどではなかったかもしれない。でもそれは負けではないと思う。まだこれからだと思う。もっと戦ってほしいのだ。「21世紀は俺達の時代だ」と宮本は何度も言っていたが、それは単に会場を盛り上げるための言葉ではなかったと信じている。
 しかし、つくづくもがき続けるバンドなんだなあ。だから好きなんだけどさ。

おまけの感想;
 「デーデ」と「星の砂」は、必ずといっていいほど2曲連続で演奏される。今では石君の炸裂ギターリフが聞けるのはこれくらいなのでライブでやってくれるのは非常に嬉しい。でも「ファイティングマン」も聞きたいんだけどな。で、その石君がラストの「コールアンドレスポンス」では宮本にシャツを引き裂かれ、挙句にギターまで取り上げられ、ドラムセットの前で手拍子させられ、生ける屍こんにちはメトロノーム状態になっていた。いつものことだけど、いいやられキャラっぷりである。

■SET LIST
1.good-bye-mama
2.明日に向かって走れ
3.Soul Rescue
4.悲しみの果て
5.風に吹かれて
6.昔の侍
7.月の夜
8.<新曲>
9.珍奇男
10.so many people
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11.デーデ
12.星の砂
13.赤い薔薇
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14.今宵の月のように
15.武蔵野
16.sweet memory
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17.ガストロンジャー
18.コールアンドレスポンス