無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

どんなものでも君にかないやしない。

岡村靖幸 CONCERT TOUR 2004
■2004/09/18@Zepp Sapporo
 8月のライジングサンでのステージはあったが、昨年の復活以来札幌でのワンマンは初ということで会場に集まった昔からのファン&新しいファンの期待度はかなり高いものだったと思う。ステージは白いカーテンで覆われていて、時折準備するスタッフが動いてカーテンが揺れる。この見えそうで見えないところが岡村ちゃんらしくていい。
 客電が落ち、カーテンの奥でバンドの演奏が始まる。暗めの照明が妖しくステージの奥の人影を映し出す。「5!!モンキー」の超絶真っ黒けファンクがビンビンに鳴り響き、姿を現さぬまま岡村ちゃんのボーカルがカーテンの後ろから聞こえてくる。焦らすなあ、岡村ちゃん!懐かしい「19」のイントロと同時にカーテンが落ち、岡村ちゃんとバンドが姿を現す。パーカー姿のラフな格好で登場。ステージのセットは夏祭りのお化け屋敷みたいな感じでよくコンセプトがわからないが、とにかく岡村ちゃんだ。いきなり「家庭教師」でエッチな照明と妖しいダンスで魅了してくれる。確かに体重が増えた今この辺の演出はかつての魅力に及ばない部分もあるが、そんなことお構いなしに彼は自らの世界に没頭するのである。その「自分を信じる正しさ」そのものが見るものに「ナシ」を「アリ」に変えさせてしまう。彼はいつでもそうやって僕達の目の前の風景を鮮やかに塗り替えてきた。その点で岡村ちゃんのやっていることは全くもって何も変わっていない。首尾一貫しているのだ。誰にも文句は言わせない。途中衣装替えを行いスーツ姿に。「聖書」や「ステップUP」では観客が一字一句間違えずに一緒に歌うくらいの盛り上がり。甘酸っぱい青春の記憶と共に彼の楽曲は自分の血肉のように一体化してしまっている。いくつになっても、何年経ってももう引き離せない。そして新しい曲と懐かしい曲が交互に出てきても全く違和感がない。これが本当に嬉しいことなのだ。しっとりと、そして熱く「カルアミルク」を歌い上げ、続くは岡村と卓球から「Adventure」でポップに盛り上がる。「ハレンチ」をビシッと決めた所で一旦退場。ここで本編終了で次からアンコール、ではなくこれは最初から予定通りの休憩なのだと思う。
 休憩後はライジングサンと同じ構成で「ミラクルジャンプ」を中心としたメドレーで一気に場を沸騰させる。ここからの必殺展開もフェスで体験したものだが、やはり「だいすき」のへぽたいやーコーラスを観客全員で決める快感は凄まじいものがある。サポートダンサー二人を従えたダンスも呼吸はバッチリだ。実際どうかはわからないが、フェスのときよりもちょっと体締まってない?岡村ちゃん。そして「あの娘〜」のイントロでアコースティックギターのカッティングが聞こえた時の興奮。これは何物にも替えがたい。今回は歌詞も間違えなかった。パーフェクトだよ、岡村ちゃん
 アンコールは最初と同様、ステージ白いカーテンがかけられたまま、ステージ脇のエレピに岡村ちゃんが座り弾き語りで始まった。「北海道ベイベー」と勝手に名付けさせてもらったが、即興の弾き語りアドリブで「北海道のみんなはきれいな空気の中で育って、真っ白い雪のように心がきれいなんだろ…東京で心が汚れたこんなオレでもつきあってくれるのかいベイベ?(うろ覚え)」みたいなでろでろの岡村節で会場を沸かせる。爆笑と嬌声。これこれ!岡村ちゃんはこうでなきゃあ。「友人のふり」は岡村ちゃんは全く歌わず、ほぼワンコーラスまるまる観客が歌詞を間違えることなく歌いきった。これもまた感動的な瞬間。とにかく、観客は圧倒的に岡村ちゃんを求め、岡村ちゃんも全身でそれに応えると言う、当たり前の光景が最高に感動的だった。ラストはまばゆいばかりの光の中、「Out Of Blue」で終了。
 岡村ちゃんの曲で描かれる穢れなき純粋はもちろん現実には存在しないものだ。しかし、それを追い求めることは決して無駄じゃない。岡村ちゃんが目の前にいる時僕たちは夢を見ることができる。それはポップスの持つ魔法と言い換えてもいいかもしれない。少なくともこの体験だけは、僕の手の中にある現実なんだ。

■SET LIST
1.5!!モンキー
2.19(nineteen)
3.家庭教師
4.ア・チ・チ・チ
5.聖書
6.モン−シロ
7.ステップ UP↑
8.カルアミルク
9.ADVENTURE
10.ハレンチ
-break-
11.Young Oh!Oh!〜ミラクルジャンプ〜Jumpin' Jack Flash
12.Check Out Love
13.だいすき
14.あの娘ぼくがロングシュート決めたらどんな顔するだろう
<アンコール>
15.北海道ベイベー1(アドリブ)
16.友人のふり
17.祈りの季節
18.真夜中のサイクリング
19.(E)na
20.北海道ベイベー2(アドリブ)
21.Out Of Blue