無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

氣志團現象最終章(2)

氣志團現象最終章−THE LAST SONG−
■2004/10/23@真駒内アイスアリーナ
 スクリーンにASAYAN風の演出/ナレーションで新網走J・Jオーディション→微熱DANJI結成のVTRが流れる。そして、そのまま微熱DANJIオンステージに突入。デビュー曲「甘い眩暈」を歌った後、3人のトークコーナーに。個人的にはここ面白かった。輝矢のあまりにキモいアイドルっぷりが笑えてしょうがなかった。(夏の時よりトーク上手くなってたな)微熱DANJIコーナーが一段落したところで、再びスクリーンに映像が。「輝いてる…あの子たち、輝いてる…」主役は氣志團微熱DANJIマネージャーの明星“テポドン”真由美(34)である。明星が氣志團のマネージャーとなり、セクハラ、暴力など数々の仕打ちに耐える姿が再現映像で語られる。「私も、私もスポットライトを浴びたい!」そうしてステージに飛び出していく彼女。スクリーンには「孤立無援の花、今宵咲くばかり」(イースタンユースかよ)そして実際のステージ上には…。出た!小林幸子かと見紛うほどのでかい衣装(というか、ほとんどセット)に身を包んだ明星。アン・ルイスの「WOMAN」を熱唱。何か知らんけどムダに上手い。途中、セット衣装を取り外し、ヒラヒラと白いドレスで舞い歌う明星。一介のマネージャーがここまでステージで堂々と歌う姿などもちろん初めて見た。これで終わりかと思いきや、白いドレスをさらに脱ぎ去り、黒いビキニとホットパンツ姿(ボンテージというべきか)になった明星がシャウト一閃、X「紅」をこれまた熱唱。やはりムダに上手い。爆笑と呆気にとられるのとで何がなんだかわからないうちに明星タイム終了。
 ここから明星と微熱DANJIのグダグダコントが続き(中身は割愛)、紆余曲折あって全員でシャンパンで乾杯となる。シャンパンを飲み干す一同。そしてお約束のように全員倒れる。毒入りだ!…「この陰謀の影にはそう、あの男が…」翔ヤン再び登場し、打ち込みアレンジのカラオケで「朝が来る度」を歌う。続いては…。トミー(MCガリヴァー)、光(乙女座リトル)、松(MCラディン)、DJ Pooh(マネージャー山口さん)からなるヒップホップユニット「押忍ペラーズ」の登場。「アンドロメダの先輩」をアレンジし、それなりに真面目にラップする。女の子達が悪漢に追われ、それを光と翔ヤンが助けにくるという寸劇(なんかこの辺はイマイチ演出意図が良くわからなかったりもした)が続き、そこにユッキの声が割って入る。マッチョなダンサー陣を従えたユッキは森高千里の「17才」ばりの衣装(足細っせぇー!)に、その昔米米クラブのギタリストだった博多めぐみみたいな黄色の鼈甲メガネをかけていた。小川直也の「ハッスル音頭」ならぬ「マッスル音頭」(しかも曲は「アラレちゃん音頭」)を歌い、いきなりのパラパラダンスショー。ユッキが引っ込んだ後はトミーがエルビス・プレスリーのコスプレで「好きにならずにいられない」を熱唱。(ここで、先ほどのサイリウムがまた一斉に取り出される)大きな拍手の中、トミーから今回の恐るべきコンセプトが発表された。「史上最大のカラオケショー」。く、くだらねぇー!しかし確かに、ここまで真面目にくだらないことを(巨額の資金を投じ)やった奴らが果たしていただろうか。くだらなさでは間違いなく全盛期の米米クラブを凌駕しているだろう。場内はこれが氣志團のGIGであるということすら忘れ、ただただステージを見ているしかなかったのである。そしてこのカラオケショーはまだ続く。ランマが両脇に人形をぶら下げたスリーアミーゴス状態(ジャグリング付き)で登場し、「ラ・バンバ」ならぬ「ラ・マンマ」を披露。そしてラストを飾るのは松。紙吹雪が舞い、明星、微熱DANJI、その他出演者勢ぞろいの中「マツボウサンバ」で見事にフィナーレ。大団円と相成ったのである。
 …はあ。疲れた。読み返すと頭がおかしくなっているような文章だが、実際あの場ではこうした光景が繰り広げられていたのだから仕方がない。この日本で氣志團でなければ絶対に実現できない狂気の自己中心的エンターテインメントがそこにはあった。これはもはや一種のサイケデリック体験だったと言っても過言ではないだろう。彼らが用意した「最終章」は、ここまで究極の形であった。ピリオドの向こうを目指す以上、それは当然のことだったとも言える。そこには「やり過ぎ」という言葉は存在し得ないのだ。