変わるもの、変わらないもの。
- アーティスト: 山下達郎,RYO,NED WASHINGTON,竹内まりや,松本隆,服部克久
- 出版社/メーカー: ワーナーミュージック・ジャパン
- 発売日: 2005/09/14
- メディア: CD
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デジタル・レコーディングになったことで大きく変わったのは彼のボーカルが前面に出る曲が増えたことだ。全体としてシンプルに、少ない音数でくっきりとした輪郭を持たせるアレンジが多い。僕の貧弱なステレオでも音の位相がかなり明確に配置されているのがわかる。ただ、逆にサウンドのダイナミズムがやや後退したようにも見える。曲自体が落ち着いた雰囲気のものが多いせいもあるのだと思うけど、その辺はさらに技術的にこなれるであろう次作に期待したい。個人的にお気に入りは「MIDAS TOUCH」と「LIGHTNING BOY」(5拍子がカッコいい)。Kinki Kidsに提供した「KISSからはじまるミステリー」のセルフカバーもいい。ケツメイシのRYOがラップで参加しているが、ぱっと聞き達郎氏に非常に声が似ているので、本人がラップに挑戦しているのか(笑)と思ったほど。
大人のラブソングからポップなものまで、職人的なソングライティングは健在。53歳になった達郎氏は、人生であと何枚のアルバム、どれだけの曲を残せるのかということをイヤでも意識するようになったという。自分が納得行かないものは出さない、録ったものは全て出す、というくらいの考えでいるらしい。次のアルバムは7年も待つことがないのではないだろうか。彼のように一貫したこだわりを持ち、頑固なまでに自らの筋を通すアーティストがそのゴールを見据えて作品を作るとどんなものが生まれるのか。とことん見届けたいと思う。