無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

札幌33。あと6年と4ヶ月。

赤羽39

赤羽39

 ピーズに関してはやれバカロックだとかロクデナシだとかダメ人間だとか後ろ向きだなんだとかいう物言いが多い。確かにそれは事実なんだが、ある意味では間逆でもある。97年から活動休止していた5年間、はるもアビさんもミュージシャン以外の仕事で生活していた。ひきこもりでもなければニートでもない。きちんと労働していたのである。それはもちろんそうしなければ生きていけなかったからで、大半の大人にとって現実とはそういうものだ。そんな現実を生き、こうして今ロックを転がし続けているピーズの音楽が現実から目を背けている人間の逃避先であるはずがないのだ。今のピーズは現実に向きあい、しょうがねーと思いつつももがきながら毎日を生きる人間のためのロックだ。非常にタフな音楽なのである。
 人間、たらたら生きてても30を越えれば自分の人生のサイズってものがなんとなく見えてくる。それを受け入れようが受け入れまいが毎日は過ぎて行き、自分はさらに年をとる。あきらめるにせよ開き直るにせよ、そこから逃げずに鳴らされるロックというのは実にリアリティに満ちている(ここ数年のエレカシがまさにそうだ)。40にして惑わず、というよりも、40になっちゃったら惑ってるヒマなんてないのだ。きっと。若い時の勢いをもってしか鳴らせないロックというのもあるだろうが、3040にならなきゃできないロックってのもある。はるとか、宮本浩次とか、民生とか見ているとそう思う。少なくとも僕は数年前よりも40になることをイヤだと思わなくなってきている。