まだ「Q.E.D」ではない。
- アーティスト: ACIDMAN,大木伸夫
- 出版社/メーカー: EMIミュージック・ジャパン
- 発売日: 2005/12/07
- メディア: CD
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本作でも彼らの描き出そうとしているテーマは基本的には変わっていない。ただ、『equal』で大きな円環が一回りしたという印象もある中で次にどうしたやり方で音を鳴らすかという試行錯誤はいろいろあったのではないかと想像する。例えば、このアルバムでは前述のような緊張感だけではなく、時に弛緩し息をつく瞬間が多くある。ひんやりとした感触はそのままだが、内面に深く深く潜って行った過去の作品に比べると、もっと外側に、個人と世界の関係を今までよりはっきりと描き出そうというものになっていると思う。その視点は地上ではなく、もっと高いところにあるような気がする。やっぱりこういうバンドなのだ。基本的なところは変わらない。終曲など、どこまで壮大であれるかの記録に挑戦しているくらいのスケールだ。
確か大木伸夫は薬学部出身じゃなかったかと思うのだけど、聞いていると本当に理系のバンドだな、と思う。楽曲はもちろんビジュアルのコンセプトにしても全て論理的に破綻がないようにきっちりと組み立てられているような気がする。それが魅力でもあり、同時に枷でもあると思う。音楽が人間の感情に及ぼす作用というのは決して科学では推し量ることの出来ないものだからだ。なんと高いハードルだろうか。その上で彼らはこういうアルバムを作り続けている。すごいバンドだと思う。