無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

[マンガ]ヘビーメタル。

鋼の錬金術師 13 (ガンガン コミックス)

鋼の錬金術師 13 (ガンガン コミックス)

 大ボスの予想は前からついていたけど、いやあ、それにしても予想以上に重い話になってきたものだと思う。この作品における重要な前提として、錬金術というのは「等価交換」であるというのがある。何かを得るためにはそれ相応の代価を支払わなければならないという。ということはつまり、最終的にハッピーエンドになるかもしれないけど、そのためにはその分不幸になる人間がいなくてはいけないということをテーマとして孕んでいるということだ。この縛りだけで、少年漫画としては絶対的にヘビーだと思う。
 このマンガを最初に読んだときには、作者のバックボーンにある作品が透けて見えるというか、「ああ、ああいうの(エヴァとか)好きだったんだねえ」という感覚がわかりすぎて素直にのめりこめなかったのだけど、ここまで来るとそういうことはあまり関係なくなる。主人公が少年ではあっても、その主人公の成長物語としてこの作品は描かれていない。生と死、肉体と精神、とか、もっと重いキーワードを絵柄的にアニメ系の軽いタッチを使って好きなように描けるところまで来ている。読み返してみると第1巻からずっと重いまま。最初からエンディングを見据えてないとこうはできないんじゃないかと思う。どういう地点にこの物語を着地させるのか、そのエンディングもそろそろ見えてくるでしょうね。