そしてやはり異形。
- アーティスト: THE BACK HORN
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2006/04/19
- メディア: CD
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で、今作の音がどうなっているかというと、ぶっちゃけ、前述の言葉とは相反するようだがムチャクチャである。そのシングル3部作がそもそも全く違う曲調の連続であったし、アルバムを通してもオムニバスアルバムのようにそのサウンドの感触はバラバラである。素直に耳に入るポップソングもあればザラザラしたパンクナンバーもあるし、アニメソングのように分かりやすいメロディーで疾走するロックナンバーもあるし、童謡のように穏やかなメロディーの曲もあればブルージーな演奏をバックに語りが入るような一風変わった曲もある。言い方は悪いが、分裂症的にぐるぐると姿が変わっていく、奇妙なアルバムである。
ポップを標榜しておきながらこんなアルバムを作ってしまう、そんな無軌道さがとても好きだ、僕は。聞いた後の感覚が異様かと言うと実はそうではなくて、「初めての呼吸で」のディストーションギターとサビのリフレインが叫ばれる中アルバムが終わると、すうっと空の中に溶けて行ってしまうような不思議な爽快感がある。するっと流れるどころではない。ゴツゴツとぶつかりながら、それでいて後味はすっきり。面白いアルバムだと思う。