無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

祝・おかえり。

 布袋氏とのマッシュアップはちょっと個人的にはアレだったけど、「Hot Chocolate」はPESらしいセンチメンタルの中にアッパーなグルーヴのある佳曲だったし、くるりとのコラボレーションもそれなりに面白かったしで、リップとしての活動が停滞していた訳ではない。けれども、「ブロウ」のイントロ、そして流麗でポップなトラックを聞いて「リップが帰ってきた」と、正直思った。正確にはFUMIYAが復帰したということなわけだけど、結局リップのサウンドの核である彼が戻ってきたことで、グループの中にも自然といいヴァイヴが生まれているのだろう。どこからどう聞いてもリップ、というかFUMIYAらしい、超名曲。やっぱりこれだよなと思った。
 全体として、本作におけるFUMIYAのトラックは復帰初戦の様子見的なところは無く、何が飛び出すかわからないビックリ箱的なところは『FIVE』を彷彿とさせる。詰め込み過ぎじゃないのと思うくらいいろんな音のエレメントが詰まっているのに、全く過剰に聞こえない。どころか、シンプルに耳に優しい気すらする。FUMIYAは病気療養中は沖縄でゆっくり休んできたらしいけど、サウンドメイキングに対する感性とアイディアは全くチルアウトした感じがしない。
 「Island」あたりの、「もうオレら売れたしゆっくり休みながら余裕でやってこうよ」みたいな感じとは明らかにやってることが逆。意図的でしょうこれは。これからまた刺激的で面白いことが始まる予感が満載。FUMIYAの天才を改めて実感。