無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

 東京ヤクルト・スワローズの古田敦也選手兼監督が今季をもって監督辞任、選手としても引退することになった。選手としても監督としても、残念ではあるけれども今年の成績では仕方がないと思う。会見で古田は涙を流していたが、「悔しい」という言葉の影には様々な思いが交錯していたことだろう。3年前、近鉄オリックスの合併に端を発した球界再編騒動の時には選手会会長として一躍プロ野球ファンのヒーローとなった古田であったが、その輝かしい球歴にこの2年間で若干傷をつけてしまった感は否めない。
 やはり、プレーイングマネージャーというのは難しいものなのだろう。図らずも、古田が監督となる時に楽天の野村監督が「無理だ」と一蹴したが、実際にその通りの結果となってしまった。今年のヤクルトはケガ人も多かったのは確かだが、首位打者打点王最多勝投手(まだ決まったわけではないけど)がいて最下位争いでは言い訳もできないだろう。「代打オレ」だけでは話題性にも乏しく、自身の2,000本安打が最後のスポットライトになってしまった。こうなると、日本のプロ野球では古田が最後のプレーイングマネージャーになる可能性が高いような気がする。古田も今後のプレーイングマネージャーの可能性について「やるならバリバリ現役の人がいいと思う」という発言をしていたが、やはり、思うように試合に出られない(=客観的に見て、自分が試合に出るべき状態ではない)選手としての自分と監督としての自分の間で葛藤があったのだろう。しかし、そんな現役バリバリの選手が監督をやらなければならないほど今のプロ野球界は人材不足ではない。古田監督の最後の勇姿は、日本プロ野球界で最後のプレーイングマネージャーとしての姿になるかもしれない。じっくり見ておきたい。