無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

ロック曼荼羅2007

Strangefolk

Strangefolk

 再結成したクーラ・シェイカーの復活第1作。通算3作目。再結成というととかくネガティブな目で見られがちだが、彼らの場合もクリスピアン・ミルズのザ・ジーヴァズがいまいちパッとしないまま終わってしまったので「あの栄光をもう一度」的に見られても致し方ないだろう。クーラ・シェイカーといえばとにかくもう1996年の1枚目が神すぎるので、それと比べてしまうとあまりにも酷ではあるのだが、この新作はなかなかどうして健闘している方だと思う。
 クーラ・シェイカーの代名詞とも言えるインド風味は薄れ、サイケっぽいグルーヴが全体を支配している。前半はクリスピアンの切れ味鋭いギター・リフとアロンザ・ビーヴァンのうねるようなベースが絡み合うグルーヴ感溢れる曲が多く、ああ、クーラ・シェイカーっぽいと思うのだが、後半はやや地味な曲が多くちょっとダレ気味になってしまったのが残念。なんか、前半と後半で別のアルバムかってくらい雰囲気が変わってしまうのが不思議。「シックス・フィート・ダウン・ブルース」のようにルーツ・ミュージックにアプローチした曲もあり、この辺は新機軸か。独特のグルーヴ感と60〜70年代のサイケっぽい雰囲気の混合という意味では、らしさは十分に発揮されていると思うのだけど、あの当時のマジックはちょっと、甦っては来なかった(今期待してもそもそも無駄なのだとは思うのだけど)。大人のロックとしてはアリだと思うんだけど、かつての彼らを知らないような若い人にはどのくらいアピールするのかな。ちょっと疑問。