無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

 来た。ついにここまで来た。中日ドラゴンズ、53年ぶりの日本一まであとひとつ。長かった。2004年は王手をかけながら2連敗。昨年は指先さえ触れさせてもらえなかった。落合監督3度目の正直。僕自身小学生の時から夢にまで見たその瞬間がついに訪れようとしている。興奮せずにいられようか。

 日本プロ野球で過去、3回以上日本シリーズに出場し一度も日本一になっていない監督というのは、僕の記憶では西本幸雄氏と星野仙一氏だけだったと思う。落合監督という人はオレ流だ何だと個性的で奇抜な策士だと思われているかもしれないが、僕自身は極めてオーソドックスで王道の野球をやる監督だと思っている。何より、ドラゴンズ史上、4年で3回も日本シリーズに出場した監督というのは過去例がないのだ。2004年、そして今年はシーズン後半に福留という主力打者をケガで欠きながら日本シリーズに出場している(今年はリーグ優勝こそしていないが・・・)。チームとしての戦略がしっかりし、各選手の役割がはっきりしていることと、どのポジションでも選手層の厚いチームを作れたからこそだと思う。落合博満名将説を信じる私としては、西本さんはともかく、星野仙一と同列に語られてほしくないので、なんとか3度目の正直で日本一になってほしいのである。

 センチな気分になるつもりはないが、日本一確実な試合展開になったら、山本昌をマウンドに立たせてやってくれないだろうか。200勝できなくてもいいから日本一になりたいと言っている男だ。もし今年それが現実になったら、193勝で現役を退くつもりがあったりしないだろうか(そうじゃないことを信じているが)。でも、日本一のマウンドに昌さんには立っていてほしいのだ。1球でいいから。勝負事にそういう人情は禁物であるのは分かっているが、ファンとしてはそういう場面を期待せずにおれないのである。




 道産子ファイターズファンとしては、今年はもう、十分意地を見せてもらったのでいいと思っています。ここで負けたからといって、今年の戦力でリーグ制覇し日本シリーズまで歩を進めた偉業が色褪せるわけではない。