無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

来るべき新作に向けて。

レミオロメン TOUR 2008 “Wonderful&Beautiful”
■2008/01/27@北海道厚生年金会館
 昨年は特にツアーを行わず、シングルをリリースしながら単発のフェスやライヴを行っていたレミオロメン。本来なら昨年中にアルバムを発表し、それを引っさげてのツアー、ということになるはずだったのだろうけど・・・。
 ステージはバックのスクリーン以外はさして派手な飾りはなく、割とシンプルなものだった。ステージ上に現れたのは3人のほか、おなじみのキーボード皆川氏と、もうひとり(今回から?)サポートのギタリストがいた。昨年末にリリースしたシングルをタイトルにしたこのツアーは、現在の彼らのモードを反映すると共に、選曲も自由度が高く、彼らの意図が感じられるものになっていたと思う。最新シングルから「Wonderland」で始まり、「雨上がり」「モラトリアム」「RUN」と続く。新旧織り交ぜた構成になる、というのはこの時点でも感じられた。中盤、「電話」、「ビールとプリン」と来て「ちょうど、メジャーでデビューの話が来た頃書いた曲」という説明の後に「昭和」。懐かしいと同時に、今ではほとんどライヴでやらないような曲をこのツアーで演奏する意図はなんなのだろうかということをずっと考えていた。藤巻亮太はMCで「2007年はレミオロメンにとってこれから音楽を作っていくうえで非常に大事な年だった」というようなことを語っていたが、『HORIZON』というアルバムを作り、ヒット曲と共に自分たちの存在や方向がどんどん広がっていく中で、何にフォーカスを定めどこに向かっていくのか。決意とけじめは「アイランド」という曲と、06年末の横浜アリーナで見せたと思うが、さらに具体的なビジョンを練っていた年だったのだろうと思う(年内に簡単にアルバムが発表できなかったのはそのためだろう)。おそらくはその過程で自分たちの出発点、ルーツを再確認する作業がどうしても必要だったに違いない。そしてこれからどこに進もうとも絶対にこれを忘れてはいけないということも考えただろう。この日のセットの中でもとりわけファンキーに演奏されたバンドにとって最も古い曲の一つ「まめ電球」は、「これさえあれば自分たちはどこにでも行ける」というフリーパスのつもりで演っていたのじゃないか。特に古い曲の時に、神社時代を思い出したかのように楽しそうに演奏する3人の姿が印象的だった。正直、このときだけはサポートはいらないんじゃないかとも思った。藤巻の「もういっちょ行くぞー!」の掛け声と共に「南風」「明日に架かる橋」「スタンドバイミー」3連発でクライマックス。これまた懐かしい「追いかけっこ」のあと、本ツアーのテーマ曲である「Wonderful&Beautiful」で本編終了。アンコールは3曲。やはりどれもメンバーが楽しそうに演奏しているのがよかった。
 過去の曲にもう一度スポットを当てた分、彼らの現在地とこれから向かう先が改めて明確になるような構成だったと思うし、おそらくはそれがこのツアーの目的の一つでもあるのだろう。これまでの彼らの歴史を追体験し、近いうちに出るであろう新作に向けての万全の準備を整えるために。少なくとも、彼ら自身の準備は整っているのだな、と思えた夜だった。

以下余談。
 終演後トイレで隣にいた若い男子2人組の会話が聞こえてきたのだけど、「去年オレ倖田來未見たけど良かったよ」「マジ?いっぺん行きてぇ倖田來未」みたいな感じで。普段倖田來未のファン層と重なるコンサートにはあまり行く機会がないので何か新鮮でした。というか、レミオロメンってやっぱ今は普通にJ-POPとして聞かれるバンドなんだなと改めて感じた次第。

■SET LIST
1.Wonderland
2.雨上がり
3.モラトリアム
4.RUN
5.蒼の世界
6.深呼吸
7.蛍
8.電話
9.ビールとプリン
10.昭和
11.3月9日
12.流星
13.粉雪
14.まめ電球
15.南風
16.明日に架かる橋
17.スタンドバイミー
18.追いかけっこ
19.Wonderful & Beautiful

20.茜空
21.紙ふぶき
22.リズム