暮らしを見つめるヒップホップ。
- アーティスト: RIP SLYME
- 出版社/メーカー: WARNER MUSIC JAPAN(WP)(M)
- 発売日: 2007/11/28
- メディア: CD
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こうした製作方法を選んだのは「いろいろやってみたい」という本人たちの弁も事実なのだろうが、トラックメイカーとしてのFUMIYAの精神的/物理的負担を減らしたいという思いも少なからずあったと思う。それでいてアルバムとして散漫にならないのは、各メンバーが同じ方向を向いているということだろう。グループとしては非常にいい状態にあるんじゃないだろうか。やんちゃな部分は残しつつ、きちんと大人になったんだなあ、とちょっと感慨深く思ったりもする。
リップについては、日本のヒップホップとして・・・というような文脈の中で語られることが割と少ないのじゃないかと思う。それは例えば宇多田ヒカルがR&Bの中で語られないように、その中に彼らの音楽の本質がないからだ。リップの曲に滲み出る風景は、ヒップホップ系のストリートではなく、僕たちが普段通勤通学で使う道だったり、買い物帰りの風景だったり、お茶の間でテレビ見ているところだったりする。直接的にそう描かれているというわけではなく、曲の似合う風景ということだ。いい意味で歌謡曲として、生活の中に密着できるだけの強さを持っていると思う。しかし「Tales」は本当にいい曲だ。PESの能力も本作では輝いているね。