アップグレード。
- アーティスト: 9mm Parabellum Bullet
- 出版社/メーカー: EMI Records Japan
- 発売日: 2008/10/15
- メディア: CD
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個人的には、9mmにしては複雑なメロディー展開を見せる「ファウスト」や、シンプルながらも味のあるミドルナンバー「次の駅まで」などにソングライターとしての滝の成長感じる。基本、1曲1アイディアで行ってしまえ的なスタイルのバンドだと思うのだけど、そのアイディアを繋ぎ合わせたりちょっと変化をもたせることでいろいろな形に広げていけることを示したのがこのアルバムだという気がする。結果、アルバムのジャケットのようになんだかよくわからないものになっているのだけど、それでいてどこからどう切っても9mmの音になっている。最初に聞いたときは前作よりも少し軽く聞こえた感じがしたのだけど、何度も繰り返し聞くうちにメロディーの面白さやギターのフレーズの細かい動きまで、いろんな部分で楽しい発見があって飽きない。前作同様、12曲40分弱で一気に聞き通せるのもいい。いろんな点で確実に進化の跡が見える好盤だと思う。
歌詞については相変わらず世界の欺瞞と真実を暴こうとするようなシリアスなものが多い。それでもきちんと聞き手に対してコミュニケーションを取ろうとしているし、暗い現実を何とかしたいという意思も見える。期待はしていないが、諦めてもいない。そんな21世紀のムードを実によく現したバンドなんじゃないかという気がする。そして時代をよく映し出すというのはいいロックバンドであるということなのだ。