無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

BOOK OFF。

 思いがけずふと立ち寄った中古屋でいろいろ購入したので懐かしさにまかせて感想を。ほとんどが僕が中学から高校くらいのときに聞いてたものです。

OLIVE

OLIVE

■OLIVE / REBECCA (1988)
 87年に『POISON』を出した後のレベッカのリミックス・アルバム。リミックスと言っても今から見ればかわいいもので、ちょっと音のバランスをいじって間奏を長くしただけのようなものもある。アナログレコード時代の12インチシングルによくあったようなもの。「MOON」や「真夏の雨」などは歌詞が英語の別ヴァージョンにもなっている。僕がレベッカの曲の中で一番といってもいいくらい好きなのは実は「フレンズ」ではなく「MOTOR DRIVE」なのだけど、このリミックスヴァージョンが特に好きだった。そのためだけに持っててもいいかなと思うくらい。


RASPBERRY KICK

RASPBERRY KICK

■RESPBERRY KICK / 白井貴子&CRAZY BOYS (1986)
 白井貴子が自身のバックバンド「CRAZY BOYS」との名義で出した1986年発表のアルバム。レベッカやプリプリがデビューする前からライブを中心に人気を得ていた白井貴子はメジャーシーンにおける女性ロックボーカリストの草分け的な存在ともいえるだろう。本作も彼女のカタログの中ではかなりロック寄りのサウンドを志向していたはずだけど、今聞くとどこがロックなんだと思うくらい限りなくJ-POPに近い。ギターの音が小さく、シンセが目立つからだと思うのだけど、当時のヒットチャートにおける日本のロックの主流というのはこういう音だったんだなと思うと時代を感じる。そうだったんだよね。これがロックだというなら、当時の渡辺美里だって十分ロックだ。
 知らなかったんだけど、デビュー25周年を記念して2006年から白井貴子はCRAZY BOYSとしてのバンド活動も再開しているらしい。ただ、90年代以降の彼女のエコロジスト的な活動や、そもそもポップでフェミニンなソングライターとしての資質を見る限り、ゴリゴリのロックアーティストとしての活動自体に無理があったのだろうとは思う。このアルバムはポップな佳曲揃いでチャート的にもいいアクションだった。


i love`LOVE GENERATION'

i love`LOVE GENERATION'

■i love 'LOVE GENERATION' / 詩人の血 (1993)
 1989年にEPICソニーからデビューした詩人の血はヨーロッパ的なデカダンスエキゾチックなテイストを含んだユニークでモダンなポップスを作るバンドだったが、セールス的にはそれほど恵まれず、1994年に解散。本作は93年に発表された彼らのラストアルバム。この前作『花と夢』から、前述のどこか陰りのあるヨーロッパ的ムードから一気に転身しカラフルなポップスに移行したのだけど、それが空中分解しそうなほどの勢いで爆発している。赤面するほどのラヴ&ピース。うーん、もっと売れてもよかったのにな。
 ボーカルの辻睦詞とギターの渡辺善太郎は解散後「oh! penelope (オー!ペネロープ)」としても活動するが、こちらも97年に解散。実はこれで詩人の血は全アルバムコンプリート。そんな人間が今日本にどれだけいるんだという感じですが、僕は好きだったのです。特に初期のやや暗いテイストとアシッドハウスが合体した91年の3rd『cello-phone(セロフォーン)』は傑作。


■親指姫 / 山瀬まみ (1989)
 山瀬まみが89年に出したアルバムで、錚々たる面子がソングライターおよび演奏面で参加していることで当時話題となった快作。どのくらいすごい面子かというと、作詞でサエキけんぞう大槻ケンヂ、作曲で奥田民生デーモン小暮矢野顕子内田雄一郎筋肉少女帯)など。演奏も三柴江戸蔵や横関敦などの元・筋肉少女帯組が惜しげもなくそのテクニックを披露。山瀬まみもその歌唱力に加え当時バラドルとしてお茶の間に浸透してきたキャラクターを前面に出し、一種異様なエネルギーを持つアルバムに仕上がっている。本作が好評だったために翌年には同じコンセプトの続編『親指姫ふたたび』も出てる。当時の山瀬まみが芸能界の中でどういう位置づけだったのかということを窺い知る意味でも興味深いアイテム。


Timeless Garden

Timeless Garden

■Timeless Garden / 千年COMETS (1987)
 EPICソニーが当時大プッシュして売り出したバンドのデビュー作。デーモン小暮が司会やってた「ビデオジャム」でもPVが流れまくっていた記憶がある。このアルバムにゲスト参加したミュージシャンは花田裕之ルースターズ)、小玉和文(ミュートビート)、布袋寅泰いまみちともたか(バービーボーイズ)、春日博文などすごい顔ぶれ。PVの監督も後に『濱マイク』シリーズで有名になる林海象。今考えても無駄に豪華な面子。当時のEPICがどれだけ力入れていたかが伺える。こんだけゲストギタリストがいてバンドのギターは何をやってるんだと言われそうだが、実際サウンドはギターを前面に出すというよりかはニューウェイブニューロマンティックの匂いを感じさせるメロディアスなポップス。高鍋千年という作曲家・ボーカリストが前面に出ているが、ちょっとナルシストっぽすぎるきらいがあった。当時のバンドだとGLASS VALLEYが近いかも。僕の買った店には全作置いてあった。ファンだった人がまとめて売ったのだろうか。中古屋とはいえ2009年に普通に店頭で見かけるとは夢にも思わなかった。当時の売り上げが何枚か知らないけど、まだCDに完全移行していない時代だし。当時のEPICソニーは本当にチャートを席巻していたと言ってもいいくらいの勢いだったので、そこがイチオシの割にブレイクしなかったという、ある意味で貴重なバンドと言えるのかも。