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無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

理論と肉体の融合。

スポーツ

スポーツ

 東京事変としては約2年半ぶりとなる4作目。椎名林檎のソロ活動があったのでバンドとしては久しぶりとなる。前作『娯楽』は椎名林檎が作曲に参加しないという、ある種歪なコンセプトの下に製作されていたのだが、あれはあの時のバンドにとっては必要なプロセスだったのだろう、と思う。椎名林檎作曲による先行シングル「能動的三分間」のくらくらする様なカッコよさにアルバムへの期待は高まっていたのだけど、その期待に違わぬ好盤だと思う。
 今作も「能動的〜」を中心に曲タイトルがシンメトリーに配置されている。そうしたギミックから、東京事変はどうしてもコンセプト先行のバンドとして捉えられがちになってしまう。しかし、腕利きのミュージシャンが揃ったバンドのグルーヴは非常に強靭で、自由自在のアンサンブルは魅力的である。今作はコンセプト主体の頭でっかちな部分と、バンドの肉体的な部分がこれまでにないレベルでがっちりと融合したアルバム、と言えるのではないだろうか。 「スポーツ」というタイトルはそのまま今作のテーマであり、曲調や歌詞も含め「スポーツ」のイメージを想起させるものが多いのだけれど、前述のコンセプトとグルーヴ、つまりは「理論」と「肉体」の関係はまさにスポーツではないか、などと思ったりもする。
 椎名林檎が作曲に復帰、とは言っても実は数自体は少なく、今作も作曲の主体は前作同様伊澤一葉浮雲である。しかし前作で感じたようなエキセントリックなポップ感は少なく、非常に耳になじむ。自然体でポップなのだ。その辺りからもバンドとしての狙いと各人の意識がズレていない状況がうかがえる。東京事変のアルバムとしては個人的に今までで最も好きなものになりそう。