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無事なる男

敗北と死に至る道を淡々と書いています。

いつだってそれは簡単なことじゃない。

eastern youth 極東最前線/巡業〜土砂降り街道エッサホイサッサ〜
■2010/09/02@cube garden
 3月の復活巡業以来、約半年ぶりの札幌。正直言って、このライブの前に僕の精神状態はあまり良いものじゃなかった。札幌を離れる、単身赴任が迫っている中で、いろいろな不安がよぎりかなりブルーだった。しかし、イースタンユースの轟音に浸っている間は、つかの間そんなゴタゴタを忘れることができた。
 代表曲からあまりライブで演奏されない曲まで、かなりバラエティに富んだセットだったが、どんな曲を演奏してもイースタンユースのライヴに外れはない。そもそも曲がいいというのはあるが、バンドが、そして吉野寿という人がステージ上から放出するエネルギーと感情の量が尋常ではないからだ。それが毎回こちらの感情を大きく揺さぶってくるのである。クライマックスは中盤でどっしりと演奏された「野良犬、走る」だった。僕にはそう思えた。これよりも激しく盛り上がる曲はいくつもあるが、この日はこの曲が最も深く心を抉った。ここから本編ラストの「荒野に進路を取れ」までは本当に素晴らしい流れだった。
 昔に比べると、吉野はMCでよく話すようになった。笑顔も見せるし、冗談も言う。客とのやり取りも微笑ましいものだ。それは丸くなったということなのだろうか。それもあるかもしれないが、つまりは人間としていろいろな経験をして成長しているということだと思う。今の吉野のMCを聞いていると、ちょっと愚痴っぽい、でもちょっと面白い、普通の北海道弁のオッサンである。そんなオッサンがひとたびギターをかき鳴らし、言葉を叫ぶととてつもない感情の渦が襲ってくるのである。しかもそれが毎回、外れ無くだ。誰にでもできることじゃない。どこにでもいそうな男が誰にもできないような音を鳴らしてみせる。ロックである。素晴らしいと思う。
 生きていくことは、いつだって簡単なことじゃない。この日のイースタンユースのステージを見て全てがクリアになったわけではないが、やるしかないと開き直れた気がする。それでもお前は生きてるじゃねぇか、と背中を押された気がする。そういえば、10年前に札幌を離れていた時もイースタンユースを聞いてだいぶ勇気をもらったのだった。自分にとっては、そういう意味を持つ音楽としてイースタンユースは存在している。彼らの音は僕にとっては故郷の音でもあり、同時に故郷を離れた地で足元を見失わないためのランプでもあるのだ。2度目のアンコール、ラストは「青すぎる空」。空を見れば、そこは全て故郷につながっている。そう思ってやっていくことにした。そんな夜だった。

■SET LIST
1.夜明けの歌
2.いつだってそれは簡単な事じゃない
3.世界は割れ響く耳鳴りのようだ
4.踵鳴る
5.男子畢生危機一髪
6.未ダ未ダヨ
7.地下室の喧騒
8.扉
9.いずこへ
10.野良犬、走る
11.まともな世界
12.街はふるさと
13.沸点36℃
14.荒野に針路を取れ
<アンコール1>
15.雨曝しなら濡れるがいいさ
16.一切合切太陽みたいに輝く
<アンコール2>
17.青すぎる空